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チェリーブロッサム。

【星side】 「雪夜さん、すごいっ!」 「……ああ、出店も出てんじゃん。真上から見る景色も悪くねぇーな、天気も良いみてぇーだし」 「お花見日和ですね、桜も満開でとってもキレイ」 雪夜さんと約束していた休日の今日は、待っていた桜祭りの日。昨日はお互い仕事が終わって帰宅した後、オレはいっぱいいっぱい雪夜さんに可愛がられて……結局、二人とも目覚めたのがお昼を過ぎていたから。 家の中から窓の外を見つめ、オレと雪夜さんは春満開な風景を楽しんでいる最中で。 「急がなくても夜まで祭りはやってるし、お前のタイミングで出掛けるか」 「じゃあ、ライトアップされた桜を雪夜さんと一緒に見たいです。夜の方がお祭りっぽい雰囲気も出るかもしれませんし、オレ……もうちょっとだけ、雪夜さんと二人きりでいたいから」 そう呟いたオレを後からそっと抱き締めてくれる雪夜さんは、暑くなってきたからと上半身は素肌のままで。部屋の中に香るブルーベリーのほんのり甘い煙草の匂いも、窓の外から柔らかく入ってくるふわりとした優しい風も。 その全てが、オレと雪夜さんの恋の始まりだったから。陽だまりの中で雪夜さんと過ごす時間は、暖かい幸せに包まれていくんだ。 「星くん、寝ぐせついてんぞ」 オレの頭を撫でて、にっこり笑ってくれる雪夜さんが愛おしい。オレとは違う栗色の髪も、琥珀色の瞳も。オレは、雪夜さんの全部が大好きで。 どちらかともなく口付けを交わしていけば、オレと同じようにチェーンに通した雪夜さんの指輪がオレの頬を撫でていく。 幸せって、色んなものがあるけれど。 オレにとっての幸せは、雪夜さんとこうして何気ない毎日を過ごせる日々に隠されていると思うから。 暖かい春の風を感じて。 零れ落ちた想いは頬を濡らし、大好きな人の元へと気持ちを伝えてくれる。 「んっ…」 オレのファーストキスは、好きな人とするって決めていた。見ず知らずの人にソレを奪われてしまったけれど、でもオレのその決めゴトは、間違いじゃなかった。 ……運命の、出逢いだったんだ。 あの日、桜が舞い散る春。 オレは雪夜さんと出逢って、たくさんの月日が過ぎていった。 初めて会った時と、変わらない色に包まれて。 きっと、この淡い色の桜がオレと雪夜さんを出会わせてくれたんだと思う。 これからの未来、どんなことがオレたち二人を待っているのかは分からない。でも、どんなことがあっても、季節は巡ってくるから。 「星、愛してる」 桃色の花びらに、想いを寄せて。 オレたち二人が出した本当の答えを今、ここで誓うから。 「ずっと、一緒にいてください」 fin

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