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第8話

広場ってどこだろう?と流星は思った。確かに病院に居て……地震がきて、それで……。うーんと考え込む。 「広場ってどこですか?」 流星より先に葉月が聞いた。 「どこって……」 修が教えてくれた広場は確かに病院がある場所。 「あ、そうか……あの病院ってまだ新しいよね?」 葉月は流星を見る。葉月の言う通り、病院は出来てまだ数年だったと思う。その前は空き地だった。 「お前らなんの話しよるとや?」 修は不思議そうな顔で2人を見る。 「流ちゃん、きっと僕達タイムスリップしたとよ!!」 「は?」 葉月の言葉で修と流星の声が揃う。 これが夢じゃないとしたら葉月の言う通り、タイムスリップ?えっ?まじで? 「お前らまじで頭大丈夫や?それとも空想の世界に入り込んどるとや?お前らいくつよ?」 「12」 「……12にしては面白い内容の話してくんのな」 修は感心している。 「修ちゃん、俺らの話ば信じて!」 流星は修を見つめる。 「信じろ言うても初対面ぞ?」 確かにこの時代の修とは初対面。 「修ちゃんは学校の先生やった」 流星の言葉にピクっと修は反応する。 「誰に聞いたとや?俺が教師目指しとるって」 「だって、俺の知ってる修ちゃんは先生やったもん!いつも俺と葉月の宿題ば見てくれとった。あと、料理も上手くて、山のぼせ」 「まあ、確かに小さい時から料理はしよる、親が共働きやったけん」 修が過去形で言ったのは修の両親は彼が小学生の時に事故で亡くなったから。親戚に面倒を見てもらいながら兄と2人で住んで居たと言っていた。 そうだ!この家だ。 いつも葉月と遊びに来ていた家はここだ。 途中でリフォームしたって修が言っていた。なのでリフォーム前の家。 「ウツギの花あると?」 葉月が修に質問する。 「えっ?何で知ってるとや?ウツギの花は昨日、凪からもろうた」 修は驚く。 凪から貰った……その言葉で葉月はあの時言っていた人物はさっきの人なのかと思った。懐かしそうに寂しそうにしていた修を思い出す。 「ば、ばってんそんくらいじゃ信じらんばい?だっていくらでも調べれば良か事やもん」 「修ちゃん左肩にアザあるやろ?俺にもある!」 流星は服の袖をめくり肩を出す。 「あっ……」 修はそのアザをまじまじとみて、自分の肩を見る。 「いやいやいや、それくらいじゃ」と言った直ぐに玄関が開く音がして「修、お医者さん」と凪の声がした。 ◆◆◆ 白衣を着た初老の男性と凪が流星達がいる部屋へやってきた。 「この子達ね?今日は修やなかったい」 医者は修を見てニヤニヤする。 「いつも俺が喧嘩しよる思うなよ!」 修は怒ったようにぷいと横を向く。 「修ちゃん喧嘩ばっかしよったって言いよったもんね、本当やったったい」 流星はクスクス笑う。 「せからしかぞ!」 修は流星の額をつつく。 「なん?こん子達は修の知り合いか?」 医者は葉月の診察しながら聞く。 「頭も調べてやって、なんかタイムスリップしてきたとか言い出すし、俺の兄貴の孫らしいよ」 修の言葉で医者は流星と葉月を交互にみる。 「確かにこっちの元気そうな子は豊に似とるし、修にも似とるやん、こっちの子は凪に似てるね」 「えっ?」 驚いた顔で凪は葉月を見る。 修も「確かに小学生の時の凪に似とらんことも無い……お前、苗字なんて言うとや?」と葉月に聞く。 「お母さんの苗字は井邉」 「イベ?ここら辺ではあまり聞かんなあ、父ちゃんは?」 「ワトソン」 「ワトソン?」修はその後は言わなかった。葉月もハーフなのか?と聞かれるかと思ったが修が何も言わないので、この人は昔から優しい人なのだなと感じた。 「とりあえず、迷子で駐在所に届けるか?」と医者が修を見る。 それを聞いた流星は体勢を整え、正座をすると頭を下げ 「お願いします!俺と葉月をここに置いてください!お手伝いは何でもします」と言った。 「は?なん言いよっとよー!親が心配しとるやろーし、学校とかあるやろ?」 修は困った顔をする。 「俺の親も葉月の親もこの時代にはまだ産まれとらんもん!だけん、誰も心配せん」 「まだ言うか!」 修は置いて欲しい理由に空想を使うと思っているのか怒るというより、どうして良いか分からないでいる。 「うーん、置いてやれよ修、一応ワシが保護者というか身元引受け人になるけん」と医者が言う。 「だったら、オッサンが連れて帰れよ」 「オッサン言うなクソガキ」 医者は修の頭をゴツンと叩く。 「お前んとこにおりたかって言いよるとやもん、置いてやれよ」 「修、僕からもお願い。凄く必死に頼んでるやん?」 凪も一緒になって置いてやれと言う。 「あー、くそ!じゃあとりあえず数日だけぞ?」 修は仕方なくOKする。 「ありがとう修ちゃん」 流星は修に抱き着く。 「おわ!懐くな!」 抱き着かれて修は慌てる。

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