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第12話
◆◆◆
修の部屋に布団を持ち込み、横並びに敷いて床についた。
「流星見てたら子供の頃の修に似てとって懐かしくなる」
横になり、凪が話し出す。
「うん、昔の俺らみたいやな」
「ねぇ、修……僕は未来でも修の隣にいるのかな?」
「もちろん居るだろ?」
修は当たり前だろ?みたいな顔で凪を見る。
「修って独身みたいだね」
「悪かったな!」
修はちょっと拗ねたような顔をする。
「もし、修が結婚してたらお嫁さんに嫉妬しちゃうかもだし」
ふふっと笑って修を見つめる凪。
「な、凪こそ……」
結婚しているのだろうか?とふと考えてしまった。もし、結婚していたら自分も嫉妬する。
凪が嫉妬しちゃうという意味は友達を取られちゃうという意味の嫉妬かな?自分が考える嫉妬は違う。
ずっと心に秘めている感情。
言葉にしてはいけないと思っている感情。
言葉にしてしまったら凪が困るだろう。嫌わたくない。だから言葉にできない。
嫌われるなら感情を殺して友達で側に居れたらいい。
「僕はきっと結婚しないと思う」
凪は修を真っ直ぐに見ている。その顔は可愛くて優しい。
「な、なんで?」
「だって、修が独身なら1人寂しくなるやん?将来寂しくなったら一緒に住んでやるからな」
ニコッと微笑まれた。
「なん……だよ、同情かよ?」
修は笑ってみせたが内心凄く嬉しかった。
誰のモノにもなって欲しくない。
「だから、安心してよ、側にいるから」
凪のその言葉は修を期待させてしまう言葉。
勘違いしてはいけないと自分の感情を押さえ「よろしく頼む」と言った。
◆◆◆
置いて行くのが不安だと思ったが1日、2人だけで留守番させてみると、家の掃除をしてくれていたり、なれない洗濯をやってくれたり、とてもいい子だった。
だから心配だけど、置いて行けるようになった。
「凪、探したぞ」
図書室で熱心に本を読む凪を見つけた修は少し息を切らしていた。
「どうしたの?」
凪は修の様子を見て不思議そうな顔をして返事をする。
「どうしたの?ってお前、午後の授業来ないけん、何かあったんかって探したと」
修は凪の向かい合わせに座り息を調える。
「えっ?授業?」
凪は図書室の柱にかけてある時計を見てしまった……という顔をした。
「ほんともう!お前は!」
今気付いたのかと修は脱力した。
「ごめん」
「いいけどさ、どうせ体育だったし、先生にはお前体調不良って伝えてるから大丈夫ばい?」
「……本当にごめん」
凪は修に頭を下げる。その頭をくしゃくしゃと撫でると「無事なら良か!」と言った。
「で?授業忘れるほど、何ば読みよったん?」
「んー、SFとか神隠しみたいな事件」
「神隠し?」
「うん、修がさ僕ならあの子達が帰れる方法わかるかもっとか言うたやろ?だから調べてたと」
「あーね、」
修は確かに言ったなあと、自分の発言を思い出す。
「SFは、なんとなくわかるばってん、なんで神隠し?」
「僕ね神隠しってもしかしたらタイムスリップしたんじゃないかって思うとよ、消えた人が見つからんとは未来か過去に飛んだんやないかって」
「へえ」
凪は本が好きで色んな本を読んでいた。凪も先生が向いているんじゃないかって思う。
「でね、色々読んでたらタイムスリップした時と同じ状況に遭遇したら戻れるんやないかな?って思うた」
凪は少し興奮しているように見える。
きっと、色々読んで考えたのだろう。
「そういうもんなん?」
「たぶん……」
凪は立ち上がると「他にも本探す」と本が並ぶ棚へと移動する。修もその後を追う。
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