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第15話

◆◆◆ 風呂から出て豊の手伝いを皆でやった。まちこの作ったがめ煮が1番人気だった。 「婆ちゃんの煮物俺好き」 流星は満足そうに言う。 「婆ちゃん言うなって言うたやろ?若いんやけん」 豊が言う。 「ばってん、俺が知ってるまちこ婆ちゃんは婆ちゃんやもん」 「そうやろうけどさぁ……俺とまちこちゃん仲良し?」 「うん、ラブラブ」 「ラブラブ?ちゃなん?」 豊は流星の言い方にキョトンとする。 「羨ましいくらいに仲良しって事!僕達の運動会とか2人で見に来てくれるよ、お婆ちゃんのいなり寿司も美味しかあ、あと、玉子焼きも」 流星に変わって葉月が説明する。 「そーかそーか、ラブラブちゅうやつか!」 豊は気持ち悪いくらいにニヤニヤしてる。 「なん?兄ちゃんきしょくん悪か」 「豊さん、まちこちゃんと恋人になったって」 流星に言われ修は驚いて豊を見た。 「そういうこと」 ニヤニヤしながら修を見る。 「良かったですね」 凪が素直に祝福している。 「ありがとう凪」 「兄ちゃんやるやんか!会社のマドンナやろ?」 修に褒められ豊は嬉しそうにする。 その日は豊中心で団欒を過ごした。 ◆◆◆ 修の部屋。いつも通り、2人並んで布団を敷く。 「豊さん嬉しそうだったね」 「うん、兄ちゃんのあげな顔久しぶりみた」 修が言いたい事は凪にもわかる。両親が居ない2人は支え合って生きてきた。特に豊は修の面倒を良くみていて、修も豊の気持ちが分かるので悪さや贅沢はしないでいた。 2人で横になると直ぐに凪が「修……一緒に寝てよか?」って聞いてきた。 修は一気に顔が熱くなりながら「よ、よかぞ」と布団をめくる。 ゴソゴソと隣に入ってくる凪にドキドキが止まらない。 修にくっついてくる。 「あー、凪……その一緒はうれしいばってん、あんまくっつくと我慢できんくなるけん」 修はしどろもどろで今の状況を説明。 「なんば我慢すると?」 分かっているくせに凪は聞いてくる。 「い、色々たい!」 「僕は修に触られたい……」 凪がそう言った瞬間、布団が少し浮いたかと思うとあっという間に凪は修の下に組み敷かれた。 「ほんと、凪は……」 見下ろす修の顔は真っ赤だ。 その顔が可愛くて凪は両手を伸ばす。 修はそのまま額に唇を落とし、それから瞼、頬の順でキスを落とす。 そして、その次が唇。何度か軽く唇をくっつけて、自然に凪の口内へ舌を侵入された。 ◆◆◆ 流星はまちこのがめ煮を食べたので自分の時代の事を思い出し少し悲しくなった。 「流ちゃん」 葉月の声が聞こえて「なん、まだ起きとったと?」と聞く。 「うん……眠れんと」 「俺も」 流星は仰向けから横向きに体勢をかえ、葉月の方を向く。 「思いだしとった、婆ちゃんとかじいちゃん、父ちゃんと母ちゃん……それと修ちゃん」 「うん、僕も……」 この時代では修は若くて元気で病気知らず。ここにきて、数日経っているから、きっと、みんな心配しているはず。 そして、修は……修は元気だろうか?あの地震は直ぐにおさまったのだろうか? 「戻りたいけど……怖くて戻れん」 流星の声は震えている。 葉月は手を伸ばして流星の手を握る。 「修さん強かもん!」 「うん、知ってとる」 流星も葉月の手をぎゅっと握った。 座敷の襖が開いて「お前らまだ起きとったか」と豊が入ってきた。 慌て起きる2人。 「今日はここで寝てよかや?」 「えっ?」 豊の言葉に2人は揃って声を出す。 「ほら、布団ばくっつけろ、掛布団はもってきたけん」 豊は布団をくっつけると真ん中に寝る。 「家に帰りとうなったっちゃろ?」 豊に言われて頷く2人。 「婆ちゃんのがめ煮食べたけん」 「そうやと思った、ほらこい!じいちゃんが一緒に寝ちゃる」 「じいちゃん言うなって言うたくせに!」 流星は少し笑う。 「今夜は特別ばい!孫と孫の友達と寝れるって俺は凄かばい」 がははと豪快に笑う豊は流星が知っている祖父そのもの。もちろん本人だから当たり前だけど、若い祖父と一緒に居る不思議を流星も凄いと感じた。

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