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第17話
修の学校へ見に行くか?なんて話すがどこか知らないし、そもそも同じ学校か分からないのだ。
凪なら知っているかな?とふと思った。あんなに仲良さそうなのだから。
「凪兄ちゃんの方が先に恋人いそう」
葉月の言葉に「修ちゃんだってモテる」と流星が必死に言う。
「そんな意味やないよ、なんか凪兄ちゃんがキラキラしとって恋してる顔やったもん」
流星も確かに凪が知ってる彼とは違い妙に色気が出ていたのを感じた。
「恋バナしちゃえば良かっちゃない?」
「恋バナ?」
葉月の提案にあー、そうかも?と流星は考える。
豊に恋人が出来たのだからそのノリで!!と話しがついた。
◆◆◆
修と凪はまた図書室へ寄り、本を見ていた。
今日は生徒がまばらにいるから2人っきりではない。
でも、ここで初めて口付けを交わしたという事を思い出してしまうから長居は出来なかった。
放課後、凪は着替えを取りに行くと家へ帰り、修は先に自宅へと戻る。
「あれ?凪兄ちゃんは?」
流星と葉月が不思議そうな顔をする。なんせいつも一緒だっから。
「あー、着替え取りに行った」
「着替え?修ちゃんの貸せばよかやん、どうせ洗うとやし」
流星の言葉に「うん、そうなんやけどね、凪の着替え何着か置いとった方がいいかな?って」と返した。
あー、そういう事かと流星と葉月は納得。
「僕も流ちゃんちに着替え置いてあるよ、僕んちに流ちゃんの着替えあるし」
葉月がそう言う。
「仲良しなんやな」
修は2人を見て微笑ましく笑う。流星と葉月は自分と凪に似ている感じがする。幼なじみで、流星は自分と似たような性格で葉月は凪みたいに優等生タイプ。流星が活発そうに見えるが実は葉月の方が流星の世話をしているんだろうなって思う。自分がそうだから。
「流星、お前、あんまり葉月に迷惑かけんなよ?」
「はあ?かけとらんし!」
「今後かけそうな感じするったい!葉月、よろしくねウチの流星ば」
葉月の頭を撫でる修。
「うん、未来の修さんにも同じ事言われたよ」
葉月はニコニコして話す。
「な、なんそれ?いつの間に!!」
自分の知らない所でそんな会話がされていた事に複雑な顔をする流星。
「帰りたいやろ?」
修に聞かれて2人はしょんぼりとした顔になった。
◆◆◆
凪が家に帰ると玄関に高そうな革靴があった。
ドキッとしてしまう。
その靴の持ち主を知っているから。
父親の会社が取り引きをしている会社の社長。
凪が幼い頃から知ってはいるが少し苦手であった。凪に執拗に絡んでくるから。子供時代は玩具を買ってくれるオジサンだと思うだけだったが、中学に入った頃から少し何か違うと感じていた。
親抜きで食事に誘われたり、息子が欲しかったからなんて言っていたけれど、身体を執拗に触ってくるのだ。
腰とか太ももとか。
社長には凪と同じ歳の娘が居て、その娘との関係は普通で可愛がっているように映り、自分が感じる違和感は気のせいかもと何度も思った。
でも……、怖いと感じてしまう存在だった。
「凪おかえり、ちょうど良かった、社長さんが凪に素敵な話持ってきてるの」
玄関で靴を脱いでいる凪に母親が嬉しそうな顔で近付いてきた。
「素敵な話?」
「お見合いの話よ」
「えっ?」
母親の言葉で凪は固まってしまった。
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