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第24話
風呂から上がると2人で朝食作り。
「なんや、お前ら早かなあ」
豊が欠伸をしながら台所へきた。
「兄ちゃんおはよ、チビ達まだ寝とると?」
「おはようございます豊さん」
修と凪は交互に話かける。
「んー、寝とるぞ、今日はお前らどーすっと?」
「広場に流星達といってくるけん」
「飾り山ができよるけん見に行くとか?」
「あー、それもあるけど……手がかり掴めんかな?って」
「手がかり?」
修と凪は流星と葉月のタイムスリップを図書室で調べてきた事と考えた仮説を説明した。
同じ条件が重なれば戻れる可能性あるかもという仮説。でも、どういう状況かイマイチはっきり分からないから手がかりを求めて保護した広場へ行こうというわけだ。
「俺も行こう」
豊も一緒に行くと言ってくれた。
朝食も出来て子供達を起こす。
眠そうに歩いてくる2人を見て和む。
初めてここにきた時よりも2人はスッカリこの家に馴染んでいる。2人が居ることが当たり前のように豊も修も凪も行動している事に3人は気付き。この子らが帰ってまうと寂しいだろうな……とさえ思った。
◆◆◆
「皆で出かけるとかどげんしたと?」
流星はそう聞きながらも楽しそうだ。もちろん葉月も。
「飾り山できよるよ」
しばらく歩いた時に葉月が指をさす。
「わあ!ほんとやん」
流星は走って行く。
「こら、危なかぞ!」
豊が注意する。
「おお、元気やな」
声がどこからか聞こえ、流星達はキョロキョロ。すると、少し先に自転車から降りてこちらに手を降っている白衣を着た初老の男性が。
流星達を置いてやれと言った医者。
「堂原先生」
豊が彼の名前を呼ぶ。
「お揃いでなんしよっとな?」
堂原が側に来た。
「手がかりば探しに」
「手がかり?」
「流星達がどげんやったら帰れるか保護者場所に来たと」
修が説明する。
「ほー、なるほどなぁ、原点に戻るってか?流星達の時代はここは何な?」
堂原に聞かれた流星は「大きな病院」と答えた。
「そう言えば病院居った言いよったな」と修は思い出す。
「あ……そこの院長さんの名前堂原さんだ」
葉月は思い出したように言う。
「なん!!そいは本当か!」
堂原は驚いたように言う。
「はい、堂原俊之さんって名前」
「……すごかぁ、息子の名前たいね、病院ば移転させて大きゅうしようって言いよってな、もう直ぐ話が決まるとさ、場所はここたい」
「はあ!!」
豊と修と凪の声が響く。
「繁盛しとるとな?」
「やらしか聞き方してからくさ」
ワクワクしながら聞く堂原に豊は嫌そうな顔をする。
「なんや豊、当たり前やろ?気になるくさ!」
「うん、いつも患者さんいっぱいおるよ、ご飯美味しいって修さんが」
流星はそこまで言ってハッとして言葉を濁す。
勢いで言ってしまったが、まさか癌で入院しているとか言えない。
「なん、流星の時代の俺は入院しとるとか?」
修に聞かれて流星はドキドキが激しくなる。どう答えていいのだろう?嘘を言えばいいのだろうが今は頭が回らない。
「修さん、山笠のやり過ぎで腰やったと」
咄嗟に嘘をついたのは葉月。
「さすが修やん」
堂原と豊と凪はあっさり信じたようでニヤニヤして修を見る。
「はあ?俺、なんしよっとよ!」
本当かと未来の時代に呆れる修。
「そん時に地震がきて、目が覚めたら修さんの家におった」
葉月はそう続けた。
「地震かぁ」
凪は何か考えながらに呟く。
「地震がまた来たら帰れるってこと?地震とかいつ来るかわからんとに」
修はそう言って悩む。もっと良い方法はないだろか?どうやったら未来へ帰れるのだろうか?考えても解決出来そうにない問題だった。
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