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第4話 正義の味方
だ、誰?正義の味方!?
「って、なんだなんだァ?この状況はよぉ。あ!!美少女発見 !!」
逆光であまり顔は見えないけど、闖入者とバチッと目が合い、彼が探していたのはオレだと分かった。オレの顔を見て、ぱっと笑顔になったから。
多勢に無勢すぎるけど、ドアを蝶番ごと破壊するくらいだからこの人強いのかも……!
「た、助けてください!お願いします!!」
「お?」
「てめぇ二年の朝比奈か!俺たちゃ今からのぞみチャン達とイイコトすんだから、関係ない奴はすっこんでろ!!」
アサヒナ……さん?二年生?有名人?
「はあ?どう見ても合意じゃねーじゃん、助けてっつってンぞ?」
「うるせえ、黙れ!」
「なあ美少女……ノゾミちゃん?助けてやったら俺の彼女になってくれるゥ?」
「ハイッ!なります!」
「ヨッシャ!契約成立な」
勢いよく挙手してオッケーした。だってオレ、女の子じゃないし!
幸い勘違いしてるみたいだから、後で男って分かったらこんな約束ナシになるよね?
このひと一人でこの人数に勝てるなんて思わないけど、騒ぎが大きくなったら他に誰かが助けに来てくれるかもしれないし……!
「よおし、美少女にカッコイイとこ見せちゃうぞ☆かかってきなさ~い」
アサヒナさんはくいくいっと右手のひとさしゆびを自分に向けて前後に動かし、不良達に余裕綽々な『カモン』のジェスチャーをした。それもニヤニヤと笑いながら。
「くっそ……馬鹿にしやがって!てめぇのことは前から気に入らなかったんだよ!!ぶっ殺してやる!全員でかかれェェー!!」
うわあ何で煽ったの!?あっこの人アレだ、状況が分からないアホなんだ!うう、助けてって言ったのはオレだけど、お願いせめて死なないで……!!
《バキッ!!ドゴッ!!ゲシゲシッ!!ゴスッ!!ドガッドガッ!!》
「ひえぇぇ……!」
親切でちょっぴりアホなアサヒナさんが痛め付けられている音を聞きたくなくて、オレは耳を塞ぎ目を閉じていた。
そして、数分後。
「の、のんちゃん!見て……」
耳の近くですずの声が聞こえたからおそるおそる目を開けた。
そしたら……
「全員ぶっ殺したから、約束通り俺と付き合ってくれるんだよな?えーと、のぞみだから……ノンタン♡」
オレとすずを強姦しようとした不良の三年生が全員、体育倉庫の至るところに死屍累々と転がっていた。跳び箱やボールには血が飛び散っている。
そしてその中央には、ニヤッと不敵な笑みを浮かべてこっちを見ている、無傷のアサヒナさんが立っていた。
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