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第5話 不良の上の更に不良
今日も朝から激しい雨が降っている。
いっそ学校自体行きたくなかったけど、すずを一人にするわけにはいかないから頑張って登校した。
そしたら、校門の所で誰かがオレが来るのを待っていた……。
「おっすノンタン!今日も可愛いな~♡教室まで一緒に行こうぜっ」
「お、おは、おはよござますです……あしゃ、朝比奈せんぱい」
「なんだよ、トーマでいいっつったろ?俺はノンタンのカレシ♡なんだからよー」
「ひゃい、朝比奈トーマセンパイ」
「フルネームになったな!」
昨日オレとすずを助けてくれた、二年のアサヒナさんこと朝比奈柊馬 先輩は……なんとこの学校で一番恐れられている、超ド級の不良だということがすずの独自の調査によって判明した。
つまり昨日の三年生も不良だけど、それよりも更に上の不良ということだ……。
なんでそんな人が助けに来てくれたのか?
ていうか昨日会ったばかりなのに、何故昨日の今日で付き合うことになったのか?
もちろん原因は分かりすぎるほど分かってるんだけど、この状況がただただ信じられない。
朝比奈先輩が話しかけてくるのを適当に聞き流していたら、教室に着いた。
「じゃーな、ノンタン!昼休みに迎え来っから、屋上でメシ食おーぜぃ」
「はっ、はい、またあとで……」
オレは引きつった笑顔で、朝比奈先輩とさよならした。
「おっはよーのんちゃん!朝比奈先輩となかなかいい感じだったねぇ」
「すずぅぅぅ!!怖いよぉぉぉ!!」
「えっ何、どしたの?」
すずも昨日あの凄惨な現場にいた一人なのに、なんでそんな平気な顔をしていられるんだろう!?
オレはあの人が怖くてたまらないのに!!
「え、ぼくはどっちかっていうと三年生の方が怖かったよ。朝比奈先輩はなんか、次元が違うから怖くないなぁ……童話の鬼とか怖くないじゃん?そんな感じ」
「うっそー……」
すずの感覚がよく分かんないよ!
「そういやのんちゃん、男ですって朝比奈先輩に伝えたの?」
「怖くて言えてない!」
「そーなんだ……まあ男子の制服着てるから向こうも分かってそうだけど」
「そんなの分かんないよ、オレが趣味で男子の制服着てるって思われてるかも……!」
「それはそれで……ブフッ!とにかくかなり好かれてるみたいだし、助けて貰ったよしみで仲良くしてもいいんじゃない?考えようによっちゃあの人、最強のボディーガードじゃん!」
「……」
それは……そう、なんだけど……(ていうか何で今吹き出したの?すず)
現に、昨日朝比奈先輩と付き合うことになった時から、教室までオレを見に来たり、女みたいだと陰口を叩く人は一人もいなくなった。
……いや、逆に怖いから!!
「あれ?いつの間にか外晴れてるね」
「え、あ、ほんとだ……」
梅雨の真っ只中で朝から土砂降りだったのに、雲の切れ間から綺麗な青空が覗いていた。
いつの間に雨止んだんだろ……。
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