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第6話 恋の始まり

今朝は雨が降っていたのに急に止んだから、今度は湿気が半端ない。日中の気温が高いから余計だ。なんでこんなモワッとした空間でお弁当食べなきゃいけないんだろう。 「うぁっちぃな!?屋上!」 「ハイ」 「んでもノンタンと二人になりたかったし、しゃーねーか。座ろうぜぃ」 「ハイ……」 コンクリートは既に乾いていて、建物の影になっているところは少し涼しかった。  すずも一緒に来て欲しかったけど、『恋人同士の邪魔したら悪いから。ぼくのことは心配しないで!』って含み笑いしながら見送ってくれた。もはや完全に面白がってるよね。 そんな薄情な親友のことを思い出しながら、お弁当を黙々と食べた。朝比奈先輩は購買のパンを食べている。 「なーノンタンってマジで可愛いよな!なんで入学式からその髪型にしてなかったんだ? 」 「顔を見られるの、嫌なんで」 「なんで?」 「この顔のせいで、何かと苦労してきたので……」 ていうか、まさに今だよ!!学校一やべぇヤンキーと二人きりでランチとか、苦行でしかないから!! 朝比奈先輩は恩人だけど、気に入られたのが怖い人達からもっと怖い人になっただけで、オレの高校生活がピンチなことには変わりない。 「その顔のせいでヤなことが沢山あったなら、これからは楽しいコトばっかしなきゃな!」 「えっ?」 意外すぎる言葉に思わず隣を見ると、朝比奈先輩はニカッと太陽のような明るい笑顔をオレに向けていた。 《ドキッ》 このひと、よく見たらカッコイイのか……?  朝比奈先輩は背が高くてガタイも良くて、オレとは20センチくらい身長差があるから、実は今までマトモに顔を見ていなかった。  髪はツンツンでボサボサだけど、見方によっては無造作ヘアでかっこいいし、男らしくキリリとした太い眉毛に、ナイフのような切れ長の瞳。笑ったときにチラッと見える八重歯が可愛くて、思わず見惚れてしまった。 「おーい、ノンターン?」 「ハッ!はい!?」 「ボーッとしてたけど大丈夫か?気分でも悪ィ?」 「い、いいえ……」 《ドキドキドキドキ……》 な、なに?何でオレの心臓、いきなりこんなうるさくなってるんだ……!? 「あのっ、午前中大雨だったのにすぐ晴れましたよね!今朝の天気予報でも晴れるって言ってなかったのに」 「そーだなァ。ま、俺晴れ男だし!」 「晴れ男?」 「おう。巷じゃミスター晴れ男って呼ばれてるぜぃ。誰が呼んでんのかは知らねーけどな!」 「あはっ、なんですかそれ」 そんなのただの自称じゃん! 可笑しくて笑ったら、今度は朝比奈先輩がオレの顔を見つめてボーッとしてた。

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