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第136話 2ケツ

オレは城島さんの部屋の真ん中に一人立ち、ぐるりと見渡した。 来た時と同じ空っぽになった部屋。 カーテンは……掛かったままでもいいか。 あ、カーテンの影に灰皿とタバコとライターがあったんだった。 ちょっと迷ったけどオレはそれらをリュックにしまった。 城島さんの愛の部屋。 ありがとう城島さん。 オレは頭を下げた。 * 「ウーイ。お待たせ灰谷」 「ああ。オマエ、チャリどこ?」 「え?そこの駐輪所の柱に……は?あ~灰谷~」 「なんだよ」 「チャリ盗まれてる~」 また盗まれては困るから、面倒だけどいちいちチェーンを掛けることにしていた。 だが、切られたチェーンが落ちていて、自転車がなくなっていた。 「またやられた~。あーチクショウ、なんでだよ~っ。オレばっかりー。買ったばっかなのに。チェーン切るってどんだけだよ~」 「真島」 「ん~?」 「乗れよ」 灰谷が自転車の後部座席を叩いてニヤリと笑った。 灰谷と2ケツして家に帰る。 しばらくぶりの灰谷の背中。 ああ。いいな。 こいつの背中、いいな。 オレはもう乗らないと決めていたオレの特等席にまた戻って来てしまった。

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