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第3話

「はる?どうしたん?」 健司が俯いて黙ったままの僕を心配して顔を覗き込んだ。 「いや、なんでもない。それより健司はよ着替えろや。」 「んじゃ、みんなで買い物行くか~」 「咲希も賛成ッ!!はーやくパーティーしたいね~っ!!」 なんやろ…、なんか皆キラキラしとって、まぶしい。 「あー、ごめん。僕なんかしんどなってきたから寝とっていい??」 ここに居るんが、辛い…。 『んじゃ、俺も残っとくわ~』 は...? 残るといったのは他でもない、健司やった。 何でお前も残るねん…、それやったら泣けへんやん…。 「ええよ、横になっとくから健司も行ってきたらええで。まぁ、ベッドは借りるけど。」 「あほか。春人1人にして家ら空けてられるか。俺も残る。」 くっそ…。 かっこいいとか思ってまうやろ…。 アホなくせに真剣な顔しやがって…健司のくせに。 「じゃあ、3人で行ってくるわ~。いくで、光、咲希」 「ん?おぉ、行くか。咲希はよいくで。茉莉怒らせたら怖いんやから」 「えぇぇー。なんで健ちゃんも残るんーッ!?みんなでいこーよー!!」 そうだそうだ。もっと言ってくれ、咲希ちゃん。 そして健司をここから追い出してくれ。 「あほか。じゃあ俺が咲希らと買い物いって帰ってきて春が死んでたらどうする?嫌やろ?」 ...イヤ、死なんし...。 「嫌や!!咲希、3人で買い物してくるから健司はちゃんと春ちゃん守っといてやっ!!」 ...イヤ、守られんでも大丈夫やし...。 「おう、任しとけ。」 お前はお前で何やる気になっとんねん...。 「まぁええわ。はよ行くで。咲希。」 「はーいっ!」 「じゃーな、健司。喧嘩すんなよ~」 「当ったり前や。俺の可愛い可愛い春と誰が喧嘩するか」 可愛いとか…。冗談言うなよ...、 でも、それでも、冗談ってわかっていても、嬉しいって思ってしまう。               ◇  ◇  ◇ 「はよ横になっとけよ。はる。」 「ん。分かっとる。ベッド借りるで。」 モソモソとベッドに入る僕。ベッドには健司の匂いがする。 「俺も一緒に寝よ~っと」 モソモソと健司がベッドに入り込んでくる。 「ちょっ、健司!何してんねんっ!!」 「んん~?抱きしめてるだけやでー。最近はる不足やったから補給中」 僕をギュっと抱きしめてくる健司はすごいあったかい。僕のこと好きなんかと錯覚してまうくらい、健司は僕に甘い。 しかも、ベッドの中で足を絡ませてくる。ほんと、(たち)が悪い。  「…なぁ。」  「ん?」        『はる、なに怒ってるん。俺、なんかしてもたんかなぁ』 いつも明るい健司にしては、どこか寂しそうな声だった。 「なんで。僕、怒ってへんで。」 「だって光ら来た時ちょっとていうか...めっちゃ怒ってたやん。」 怒ってない。ただ悔しかっただけ 「そんなん、怒ってたとしても健司に関係ないやん。」 『そっか。はる俺のこと好きちゃうんやな』 そうじゃないのに。 大好きなのに、伝わらなくて。 『春人。もう、友達やめよ。』 僕はどこから間違ったのだろうか。

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