3 / 16
第2話
目を覚ましたそいつは、じっと俺を見てくる。
大きくて、少し茶色掛かった綺麗な目。
……って!そうじゃなくて!!
「お前誰だ?」
そう聞くとそいつは少しオドオドとし始める。
「……えと、僕は……」
俺の質問に答えようとしてるのか。
でも、そいつの目は完全に泳いでいる。
もしかして、俺が怖いのか?
まぁ俺も優しい顔立ちじゃないのは自覚してる。
様子を見るけど、そいつとは一向に目が合わない。
俺は小さくため息をついた。
「質問を変える。おまえ名前は?」
「……白神、輝」
……一応、聞けば答えてくれるのか。
「なんでここに居る?」
そう聞くと、輝の目がまた泳ぎ出す。
「……あなたが、声を掛けてくれて…」
全然記憶に無いけど、やっぱ俺が声を掛けたのか……
でも、なんで俺はこんな奴拾ったんだ?
訳分かんねぇ。
「なぁ、なんで俺についてきた?」
そう聞くと、輝の目はまた泳ぐ
目は合わないし、話し方もたどたどしい。
人見知りが激しいのか、それ以前の問題なのか。
「……行くとこ、ないなら……家 に来いって……」
それを聞いて俺はため息をつく。
まじか!?
こいつの言ってる事が本当なら、完全に俺が連れ込んでんじゃん。
「……あの……邪魔なら、出ていきます。」
輝はそう言って俯く
「出ていくって、行く宛でもあんの?」
そう聞くと、輝は小さく首を振った
「でも……僕がいたら、あなたに迷惑がかかる。」
確かに、出てってもらった方が助かる。
俺だって見ず知らずの奴を置いとくほどお人好しじゃない。
でも、声を掛けた俺にも責任はあるか……
俺は小さくため息をつく
「まぁいいや、行く宛無いならしばらくここに居れば?」
そう言うと、輝は驚いたような顔で俺を見る。
「ただし、ずっとじゃないぞ?」
そう言うと、輝はコクコクと頷いた。
見ず知らずの奴を世話するほど、俺はお人好しじゃない。
それに俺から声を掛けたとはいえ、こいつを家に居候させる義理もない。
でも……何故かほっとけないと思った。
「俺は遠間 神。まぁ、とりあえず宜しく。」
ともだちにシェアしよう!