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第5話

朝、携帯の着信音で起こされた。 昨日は叶と深夜まで飲んでた。 叶が輝に興味を持って、輝の事を色々と聞いてきた。 叶が輝に対して何を思ったのかは分からないけど、結局その話で帰るタイミングを完全に逃した。 家に帰ってからは、やり残していた仕事を少しだけ進めようと思ってやり始めたら思いの外ノってしまって明け方までやってた。 流石に寝ようと思って、ようやく寝付いたとこだった。 俺は寝惚けた状態で電話に出る。 「……はい」 『神さん!どういうことっすか!?』 電話に出た途端、耳元で声が響く。 俺は反射的に電話を切って枕元に放り投げた。 もう一度寝ようと思った瞬間、また着信音が鳴る。 誰からの電話かなんて、ディスプレイを見なくても分かる。 放っておけば諦めるだろうと思ったけど、着信音は一向に止む気配がない。 俺は舌打ちをしつつ、電話に出た。 『神さーん!切るなんて酷いじゃないっすか!』 出た瞬間、耳元で聞くには大きすぎる声がスピーカーから響く。 この声は寝不足の俺にはキツい。 『神さーん?聞いてますかー?』 そんな事を考えていると、また電話越しに叫ぶ声が聞こえてくる。 「………孝太、少し黙れ。」 『えー、あっもしかして叶さんと飲んでたんっすか?』 俺は『黙れ』と言ったはずだけど、孝太は声のトーンを変えず話す。 おまけに『なんで俺も呼んでくれないんっすか!?』とか喚いてる。 「……おい。」 イラつきで自然と声が低くなる。 「お前、俺が何時に寝たか知ってるか?」 そう言うと『何時っすか?』と陽気な声が聞こえてくる。 その声が更に俺をイラッとさせる。 「俺が寝たのはついさっきだ。」 『あ、そうなんっすね。』 と軽く返されて、俺のイラつきは最高潮だった 『…って、そんなことはどうでも良いんすよ!?』 ……どうでも良いって。 こいつ、次会ったらマジ絞める。 『神さん、同棲してるってマジっすか!?しかも高校生って!?』 「っ!お前、なんでそれを!?」 『ちょっと小耳に挟んだんすよ。で、マジなんっすか!?』 ……そう言えば、こいつは昔から情報収集が得意だったな。 どこから仕入れてくるのか、色んな事をよく知っていた。 でもこいつが集めてくる情報は、正確だけど詰めが甘い。 そう思うとため息が出た。 「同棲じゃなくて同居だ。それに相手は男だ。」 『へ?……男?』 相手が男と知ると、孝太はまぬけな声を上げた。

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