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第6話
『えっ?えっ?…どういうことっすか?』
俺が男と同居してるって聞いた孝太は、それが理解出来てないみたいで、電話越しでブツブツと何か言ってる。
どうせこいつのことだから、俺が女子高生と同棲してるって勘違いしたんだろう。
「まぁそういうことだから、お前他の奴等には言うなよ。」
『分かりました!!俺、そっち行くんで!』
孝太は『じゃあ!』と言って一方的に通話を切る。
「はぁ!?おい、ちょっと待……」
制止も虚しく、電話の向こうでは『ツーツー』と機械音がしていた。
あいつ、今から来るつもりじゃないよな?
俺はため息をついて携帯を枕元に放り投げた。
……完全に目が覚めちまったな。
とは言え、殆ど寝てない状態だから、今日が休みで良かったと思う。
そんな事を考えていると、ドアの方から小さくノック音がした。
「はい」
そう返事をすると、微かにドアが開いて輝が顔を覗かせた。
「どうした?」
そう聞くと輝は目を泳がせる。
叶が輝が俺には懐いてるでしょうって聞いてきたけど、実際のところはまだこの距離なんだよな。
輝はドアの所にいて、俺に近寄る所か部屋にも入ってこない。
これのどこが懐いてるって言うんだ?
「そんな所に突っ立ってないで入ってこい。」
俺がそう言うと、輝はオズオズと部屋に入ってきた。
それでもドアの外側から内側に移動しただけだけど。
「何か用か?」
「……ぁ…えと……」
そう言って輝はまた目を泳がせる。
輝が来て3週間、俺が輝と目を合わせたのは数えるくらいしかない。
正直俺は、輝のこのオドオドした態度が気に入らなかった。
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