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第7話

この3週間、輝を注意して見ていた。 呼べば来るし、聞けば答える。 全く話さない訳じゃ無いけど、自分から話すことは殆どない。 目も合わさなければ、いつもどこかビクビクとしている。 人見知りとは何か違う気がした。 それが何なのかは分からないけど、例えるなら何かに怯えてるような。 正直、俺はこの輝という人間がどんな奴なのかいまだに分からない。 「で、何の用?」 そう聞くと、輝はビクッと体を震わせる。 「……すいません……声が、聞こえたから……神さん、起きたのかなって……」 輝はビクビクとしながらそう答える。 俺はそんな輝を見てため息をついた。 「輝」 名前を呼んだだけで輝はビクつく。 「ちょっとこっち来い」 そう言うと輝の目は更に泳ぐ。 それでもゆっくりと俺の方に近寄ってきた。 輝は俺の前に立つ。 でもやっぱり目を合わせようとはしない。 「輝」 もう一度名前を呼ぶとチラッとは見るけど、また目を反らす。 俺は更にイラついた。 「こっち見ろよ!」 そう言って俺は無理矢理輝の顔を自分に向けた。 バチッと目が合う。 その瞬間、俺輝の顔に恐怖が浮かぶ。 「っ!やだっ!!」 輝はそう叫ぶと、俺の手を振り払って部屋から走って逃げていった。 バタバタと足音がして、隣の部屋のドアが勢いよく閉められる音がする。 俺は動く事が出来なかった。 俺は叩かれた手を見る。 微かにジーンと痺れている。 俺に触れられるのが嫌だったのか? 本当は目も合わせたくないほど、俺は嫌われてるのか? ……訳分からねぇ。 そう思って俺は、微かに痺れる手をギュッと握った。

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