13 / 16

第12話

孝太side 家の中に入ると俺は中を見回す。 噂の同居人は見当たらない。 こっちは神さんの部屋だから…… こっちかな。 そう思って俺は、神さんの部屋とは違うもう一つの部屋を開けた。 そこに居たのは一瞬見たら女と見間違うくらい可愛い顔をした人。 でもよく見たら男だと分かる。 「あんただね。神さんの所に転がり込んだ奴って。」 俺がそう声を掛けても何の反応もない。 白神 輝は固まって動かなかった。 「あれ?聞いてる?」 そう言って彼の目の前で手を振る。 その瞬間、彼の顔が恐怖に変わるのが分かった。 彼の目に一気に涙が溜まってボロボロと溢れる。 「え!?ちょ!?まだ何もしてないのに!?」 急に泣かれて、流石に焦った。 「頼むから泣かないで?何もしないからさ。」 そう言って胸の位置まで両手を上げてゆっくりと近付くと、今度は手当たり次第物を投げてきた。 「ちょっ!?何もしないって言ってるのに!」 俺は飛んでくる物をガードするだけで精一杯で、なかなか輝に近付けなかった。 「……何してんだ?」 そうこうしてる内に神さんが帰ってきちゃって、俺は一気に血の気が引いた。 神さんを見つけた輝は、俺の横をすり抜けて神さんにしがみつく。 それには俺も驚いた。 こいつはそんなにくっつく程、神さんに懐いてるのか!? 神さんも神さんでなんでそんな奴に好き勝手させてるんだ。 俺なんてそんなんしたら、叩かれるのに。 そんな事を考えてると、神さんが『お前は何してる?』と聞いてくる。 俺は素直に合鍵で家の中に入った事を言うと、アイアンクローを喰らった。 おまけに『帰れ』なんて言うから、神さんに飛び付いたら避けられて、神さんが避けた拍子に後ろに居た輝を突き飛ばした。 そしたらまた俺が怒られた。 本当、酷い。 その後神さんは、何事も無かったように買って来たコンビニ袋の中身をテーブルの上に取り出す。 そしてそれを輝に選ばせてた。 おまけに神さんはデザートまで買ってきてる。 甘いものが好きじゃない神さんは、デザートなんて買わない。 もしかして輝の為に? でも輝がそのデザートを食べるのを躊躇してるみたいだったから、俺が食べてあげるって言ったら、また怒られた。 それに加え、『まだ居たのか』なんて言われた。 輝には明らかに神さんが選ばないような甘いパンやデザート買ってきてるのに。 なんか、俺の扱い酷くない!? でもその後、神さんは食べきれないからと言って俺にもパンをくれた。 パンを食べ終えると、俺は神さんに半ば追い出されるように家を出た。 しばらく歩いて、俺はポケットから携帯を取り出して電話を掛けた。 電話の相手は数コールで出る。 「あ、もしもし、叶さん?叶さんが言ってた 白神 輝、さっき見てきましたよ。……いえ、特に目立ったことはないですね。見た感じ、神さんに危害を加える風でも無かったんで、しばらく様子見で良いかと。」 そう叶さんに報告する。 しばらく叶さんと話をして、俺は電話を切った。 ……叶さんにはあぁ言ったけど、どうしても本人の情報が全く無いのが引っかかる。 もう少し探ってみるか。 そう思って、俺は神さんの家の方を見た。

ともだちにシェアしよう!