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第12話
翌日
ドンドンッ!! ピンポンピンポン!!
早朝にも関わらず繰り返し鳴る音に恐る恐る近付く
「どちら様ですか?」
「ここに深更 栗花落がいるだろう?」
その声にはなちゃんが飛び出してきた。
「…はなちゃん?」
「…もう…お別れみたい…。ほしちゃん今までありがとう。君と一緒にいられて幸せだったよ。さよなら」
「はなちゃん!!」
止めるより先に扉を開けたはなちゃん
「栗花落…会いたかった」
上質なスーツに身を包んだ男がそこにはいて はなちゃんを当然のごとく抱き締めていた
「うちの栗花落が大変お世話になりました。後日お礼に伺います
「え?」
「さぁ。行こう」
おとなしく付き従うはなちゃんを止めることはできなかった。
数日後、あの男性がやって来た。貰った名刺は俺の会社の大口の得意先の会長だった。
「栗花落はうちの家政夫だ。突然姿を消したので心配していたんだよ…良かったあなたみたいな人に保護してもらって」
「俺と深更さんはパートナーです。彼はいつここに戻りますか?ご自宅はここの近くでしょう?ここから通えるはずです」
「あの子はね病気なんだ。私がいないとおかしくなってしまうのだよ。だから申し訳ないけれどもうあなたに会わせることはできない。これは栗花落がお世話になっていた間の謝礼です。」
分厚い封筒が手渡される。
「いいえ。こんなのいりません!彼を返してください!彼はいってました帰るところがないと。戻りたくない理由があるのでしょ?そんなところにそのまま置いておけません」
「…ふぅ…君は案外強情なんだな…ではあいつの本来の姿を見せてあげよう。着いてきなさい」
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