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第5話 おやすみなさい
頭を小さく傾げ、子猫のような目でこちらを見つめる少年に「負けた」と心の中でつぶやくと、イリヤは目の前に美味しそうに広がる両脚を更に大きく広げさせ、最奥を狙うように深く腰を突き上げた。
「ひゃぁっ!んんんん! あぁっ、うんっ、取って、紐っひもっ、んーーーー!!!出したいぃ!」
「もう少しで取ってやる」
「んっんっ、ダメッ、おかしくなっちゃうのっ」
ガツガツと音が鳴るほど激しく腰を打ち付け始めたイリヤを見つめるヘーゼルナッツの瞳は快感の涙で潤っていた。
窓の外はまだ雨で濡れている。
そんなことを忘れられるほど、何時間も2人はこの「お仕置き」に没頭していた。
イリヤの男らしい指先がタァリの先端に触れ、根元を結んでいた紐を少し急かし気味に解いた。
「はっ、タァリ、イケっ」
「んーーーーー!!!」
爆ぜた白濁は2人の上半身に飛んだ。
同時に絶頂を迎えたイリヤの欲はタァリの体内を温める。
「ん…あったかい…」
「…お前っ」
未だに自分の中に嵌るイリヤの性器が大きくなり硬さを少し取り戻すのをタァリは感じた。
「イリヤさん、もう無理…ぼく、眠い…んっダメッ」
「お前は何もしなくていい。あともう一回、味わせてくれ」
「はぁ、んっっ、おっきくてきもちっ」
一日中働き、「お仕置き」を受けた体をこれ以上疲れさせないようにとイリヤは優しく腰を動かし始めた。
数カ月前に突然現れた少年はその時点で美味しそうだった。
美味しそうだが真っ白で、濃厚なチーズケーキのように時間を掛けて仕込んでいけばもっと味が出るはずだとイリヤは心を躍らせた。
今、自分の腕の中で小さな唇を震わせ喘ぎ声を上げるタァリは、何カ月もかけて味を仕込むクリスマスプディングのように濃厚で、大人のイリヤを酔わす色っぽささえ醸し出していた。
「タァリ、お前は美味しいな…」
眠気に誘われるがままに瞼を閉じたタァリの耳に届いたのは甘い言葉だった。
気持ちよさに体が揺れ、疲労感と倦怠感で頭が真っ白になると、大好きなイリヤの手が自分の髪を撫でた。
「おやすみ」
2度目の絶頂を迎えたイリヤは、腕の中で寝息を立て始めたタァリの唇に優しく口づけを送った。
「タァリの後始末と夕飯の準備だな」
屋根に叩きつけられる雨がリズミカルな音色を奏でている。
「明日は晴れるといいな」
カーテンを閉じ、ベッドサイドのランプに灯りを灯すとイリヤは呟いた。
晴れていても雨が降っていても、タァリがいれば心の中は晴天だ。
それでも、梅雨の時期に突然訪れる晴天に飛び上がるほど喜ぶ少年の姿が見たいとイリヤは願った。
「梅雨が終わったらピクニックに行くか」
タァリがこの店で働きだしてから「人間味がでた」とイリヤの評判が上がり、店が忙しくなってきた。
ちゃんとした休日なんて最近取れていなかったし、忙しく働くイリヤに合わせてタァリも毎日手を貸してくれた。
雨が止んだら、青い空の下で美味しいサンドイッチを楽しもう。
2人で味わうピクニックは何よりもおいしいだろう。
美味しそうなタァリが美味しそうにサンドイッチを食べる姿が頭に浮かび、イリヤは梅雨が明けるのを待ち遠しく思った。
Fin.
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