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第5話
「そりゃまぁ……ちょっとここじゃ人目につきすぎるし。クラスの奴らに、あいつら今日ヤるのかとか思われるのもちょっとね……」
本当は断りたくなんてなかったんだけどな。
エッチも好きだし。
「そっか。偉い偉い」
風早のデカい手が俺の頭を撫でた。この子供扱い……屈辱。
「うるせぇな。頭触んなよ」
身体を捩って風早の手から逃れる。
そんな様子を周りのヤツらはいつもの事とニヤニヤしながら見ているわけだ。
イケメンに弄ばれるフツメンは見ていてそりゃあ楽しいんだろうよ。
こんな俺でもエッチの相手には困らないし、自分でも入れ食い状態だって思ってる節がある。だからこんな風に風早に弄られると、調子に乗るなよと戒められてる気がしてならない。
けれど決して嫌みに聞こえるわけでもなく。
はー……いろんな意味で風早には勝てる気がしない。
まぁ、嫌いじゃないけどな。
性格もサラッとしてて付き合いやすいんだ。そんなところが男からも慕われる所以なのかもしれない。
そうこうしているうちに休み時間が終わり、始業のチャイムを合図に各々が自分の席へと戻り始めた。
「次生物だっけ。だりーなぁ」
そう言いながら足を進めた瞬間、左隣の机に足が引っかかり、意図せずガツンと蹴飛ばすような形になってしまった。
「っ……」
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