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第6話

あ、やべ……。 無意識に進めた足に蹴飛ばされた訳だからそれなりの衝撃があっただろう。 当然そこに座っていた机の主にも振動は伝わっている。 問題はその机の主である。 「あっ、と、ごめん」 わざとじゃないし、勿論悪気なんてものも一切ないのだが、クラスメイト達はこっちを見てクスクス笑っていた。 「ワザとじゃねーぞ」 そう外野に弁解するが、同じグループのバカキャラで通っている元気とでかい声が取り柄みたいな永谷(ナガタニ)なんて「よくやった!」と言って親指立ててやがる。 「違うって、本当にわざとじゃないんだって」 言いながら、机の主を確認した。 染めた事なんて一度もないであろう真っ黒な太い髪がもさっと揺れた。 「えっと、大丈夫だった?」 ずっと下を向いて見えなかった顔がのっそりと上向きになり俺を見た。 「……ホントごめん、瀬名」

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