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第8話

そんな大嫌いな瀬名にだって俺はちゃんと誠意を持って謝った。それなのに何なんだ。別に……って! ごめんなさいや、ありがとう、どういたしまして等の言葉は小さな子供だってちゃんと言えるというのに。いや蹴っ飛ばしたのは俺だし、謝罪したのは俺だけど。 でも、ごめんねって言われたら大丈夫だよとか、羽柴こそ足痛くなかったかとか、何かあるだろう。 教室中が見てるんだぞ。何かないのかよ。 コミュニケーションもまともにとれないとかありえないだろ。 俺だけ必死みたいでカッコ悪いったらない。 俺はかなりカチンときて、瀬名のメガネ越しに歪んで見える濁ってそうな目をギンと睨みつけた。 「あっそ」 そう吐き捨てて、今度は悪意を持ってわざと瀬名の机を蹴飛ばしてやった。ガツンと一発。 その後もちゃんと謝った。 「あ、ごめーん!美少女戦士もーもにゃん」って。 語尾には丁寧にハートまで付けてやった。するとどわっと教室中が沸く。クラス全体が嫌な笑いに包まれた。 イライラする。 別に俺は瀬名をイジメたいわけじゃないんだけど、結果的にそんな雰囲気になってしまった。 俺だけが焦り、慌てて、謝罪して流された。 おちょくられた気分だった。 女の子ばかり追い掛けて大して中身のない自分を見透かされたようにも感じた。 見下されたと思ったんだ。 しかし瀬名は俺の嫌がらせに動じることなく、何事もなかったかのように机の上の美少女戦士ももにゃんに再び目を落とした。

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