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第10話
視界に入れないようにすればするほど、気になって入ってきてしまうものだ。
休み時間になるといつものメンバーが教室の隅に集まりだす。
俺、風早、バカで声の大きな永谷に、一見大人しそうに見えるけど実は気の強い林田の4人だ。
永谷は赤い髪をツンツン立てていかにもヤンチャな感じだから女子は永谷のことをサルだと思ってる。
バカでエロいのも隠すことなく全開だから余計にそう思われているのだろう。
でも、気持ちいいくらい果てしなくバカで明るい。
だからなのか男子受けは良く、クラスの中心にやっぱりいる。
林田は一見お洒落な草食系男子。
アシメトリーに切りそろえた前髪は黒くてサラサラ。控え目なピアスに青い細フレームのメガネもコイツが身に付けるとお洒落に見える。
そこに正統派イケメン風早と、可愛い系を意識した俺が加わると、タイプの違うバラエティー豊かなビジュアルが揃った女子の目を引くグループの出来上がりだった。
そんな俺たちにアプローチしてくる女子はそれなりに結構いて、皆人目の付かない所でうまく接触してくる。
それは女の子大好きハンターな俺としてもトラブルを招かないように慎重に攻めてくれるのはありがたいことである。
だけど、この子はちょっと違う。
人目を憚ることなく、ところ構わずぐいぐい攻めてくる。
「ねえ、トモくん今日はどう?今日もうち親いないんだ」
琴音ちゃんだ。
俺達の談笑の輪にするっと入ってきて俺の腕に絡まり、誰が聞いてもわかるエッチしない?というお誘いをしてくるのだ。
視線を集めて風早達に知らしめようとしているとしか思えない。
空気が読めない子なんだろうか。
それともやはり、わかってやっているのか。
どっちにしてもこのやり方は好みじゃない。でもせっかく迫ってきてくれているのだから無下に断るわけにもいかないし。
なけなしの良心が痛む……というのは建前で、ほんとのところ据え膳食わぬは何とやらって。
正直俺もチャンスがあれば琴音ちゃんには一度手合わせ願いたいところだし。
なんともまぁ複雑な胸中だ。
でも待って。
えーっと……。
前回隣のクラスのあゆみちゃんとシてからさほど経ってない。あゆみちゃんにバレたら面倒なことになりかねない。それに俺のグループに止まらず、琴音ちゃんのあからさまなお誘いに他の連中だって聞き耳立ててるのがわかる。だから考えちゃうんだよ。
「んー、どうしよっかな~」
俺は考える。この子は何で俺とセックスがしたいんだろう。
好きならまずデートじゃない?
困ったな。
でも困っているのは俺だけみたいだ。
やっぱり空気読めない系かも。
「この間ちゃんと埋め合わせするって言ったよね?」
「えっとぉ……そうだっけ?」
琴音ちゃんが、狙った角度で首を傾げ、大きな目をぱちぱちとしばたたかせる。
まぁ女の子は好きだし、可愛いければヤりたいし、そんな年頃だし……。
セックス=好き、ってわけでもお互いないみたいだし。
大体ヤりたい盛りの俺にとっちゃ、セックスなんてスポーツみたいなもんで、琴音ちゃんのただヤりたい思考はこっちにとっても都合がいい。
ヤるか、ヤらないか。行くか、行かないか。そんなことをぐるぐると考えて、琴音ちゃんの耳もとで囁いた。
「琴音ちゃん可愛いからみんな俺達の話聞いてる。後で二人で話そ?琴音ちゃんち行くからさ」
すると琴音ちゃんはニッコリ笑って頷いた。
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