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第21話

「元気ないな、羽柴?」 「んー、そんなことないよ?」 風早、永谷、林田を見回してわらってみせるが憂いを帯びた表情は隠しきれなかったらしい。 「そのいかにも無理して笑ってます~って笑顔は気持ちわりぃって!」 永谷がバンッと俺の背中を叩いた。 「いでっ!何すんだよっ」 「闘魂注入!」 「もー……」 「お、やんのか?」 永谷がすかさずファイティングポーズをとるが、じゃれ合う気力ナシである。 「溜め込むとハゲるぞ」 林田が言う。それに同調して「そうだそうだ」と永谷が。これまたデカい声で。 大体コイツらに真面目に相談するとして何と言えばいいんだ? オタクの瀬名に弱味を握られいかがわしいことされてますってか? 考えて頭をブルブルと振った。 ない、ない、絶対ない。 チラッと瀬名に目を向けるといつも通りアニメ雑誌を机に開き、仲間たちとのオタクトークに花を咲かせている。 どこからどう見ても痛々しいグループだ。 しかし瀬名の瓶底眼鏡の下にはあっと驚くほどの美男子がかくれてるんだぜ。 誰も知らないであろう驚くべき事実だが、誰得?な話である。 思い出す度恥ずかしい、あの日の記憶。 アイツが言った言葉は本気だったんだ。 ネコ耳着けてセックスって。 くだらない冗談だと思いたいが、どうやら本当に瀬名は俺とシたいみたいだ。 あ、まだヤッちゃいないぞ、念の為。 いつの間にか俺のスマホから個人情報はしっかり盗まれていて、今朝は早朝から番号を教えてもいないのに電話で瀬名に呼び出された。 しかもコイツの家に。 どういう事情があるのか知らないが瀬名は一人暮らしをしていたのだ。 □□□□□□□□□□□□□□□ 閑静な住宅街の一角にたたずむ、お洒落な外観のデザイナーズマンションの一室に瀬名は一人で住んでいた。 呼び出されたのは朝6時。 マジで有り得ない。 早朝、無遠慮にかかってきた電話。 段々と大きくなる黒電話的着信音。 眠くてなかなか目が開かない中、意識だけは浮上する。 のろのろとスマホを手に取った。 イタ電だったら許さねぇ! 「……はい?」 「おはよう。俺だけど」 「誰」 おれおれ詐欺? 「本当にわからない?」 「しつけーな!わかるか、んなもん!」 「第一声で気付いてほしかったな。残念。俺だよ、瀬名」 瀬名……。てめーかっ! 額に青筋が浮かんだ。 「は、おはようじゃねーよ。何時だと思ってんだ、超迷惑」 「まぁまぁ。今からうち来れる?」 「無理。寝言は寝てから言え!」 「ふーん、そんなこと言っていいのかな。あの日のこと羽柴君の友達に教えちゃうけど?」

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