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第24話

すると瀬名は信じられない事を言ったのだ。 「羽柴くんて誰とでも寝るんでしょ。俺達オタク仲間の間じゃそう有名なんだけど」 「な……なんだそれ。俺そんなことしてねーよ」 してる。 してるけどしていないと嘘をついた。 まさか周りにばれてるとは思ってなかった。 顔がかぁっと熱くなる。 確かに女の子大好き、エッチ大好きで、可愛い子に誘われれば断らなかった。でもそれは隠れてしていたことなのに。 自分が来るもの拒まずで、ただヤるだけの関係を楽しんでいることを知られていたのだ。 俺の印象ってもしかして最悪だったりして……。 だだ下がりだった気分が更に急降下した。 「ふーん。いつも女子にチヤホヤされてるし、見た目もチャラいから、下半身もゆるゆるなのかと思ったんだけどな」 「……」 言い返す言葉が見つからなくて、セットしてない下ろした前髪をぐっと掴んで俯いた。 「別に苛めるつもりは無いんだけど。ところで前髪下ろしてると可愛いね、更に幼くなった感じ。でさ、これ」 「え……!?」 目線を上げた。 目の前に差し出されたのは、黒いネコ耳のカチューシャだった。 「な、何これ……」 「何って羽柴くんにこれを着けてもらってエロいことしようかなと思って」 「やだ!!」 考える間もなく、即答である。 何が悲しくて瀬名なんかと。 死んでもお断りだ! 「そう。雷のあったあの日、羽柴くん怯えて俺に抱きついて好きって言ってキスまでしてくれて、可愛かったなぁ。風早君達はこの話聞いてどう思うかな」 「あ、アホか……お前の話なんて誰が信じるんだよ……」 そう言い返してみるものの。 風早と林田はわからないが永谷はバカだし俺の嫌いな瀬名とのあれこれを面白がって騒ぎ立てるに違いない。 どうしよう。 いや、悩んでいる場合じゃない。 この関係をどうにか終わらせなくちゃいけないんだ。 どうすれば解放してくれるんだ。 「わかった。これは着けてやる」 瀬名の手から乱暴にカチューシャを引ったくってカポッと頭に乗せる。 その瞬間、瀬名の口元が緩んだ気がした。 「瀬名、これだけは確認したいんだけど、一体何が目的なの。いつまでこうして脅すつもり」 これを確認しないことには俺の平穏な日常は返ってこない。

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