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小指の先

何度訪れたか片手では足りなくなってしまった瀬名の部屋。 ある種の熱気に包まれて俺は息を荒げていた。 「ぅ、ふぅっ……ん」 「もっと口開けて……羽柴くん」 「やっ……、いつっ!ってぇなこの野郎!!」 瀬名のキスが深くなり、舌を入れられそうになったので思い切り顔を背けたら首筋をガリッと噛まれたのだ。 「この、変態っ!多重人格者!」 「……嫌がりながらもこんなにしてる羽柴くんの方が変態っぽいけどね」 「やっ、ぁっ……んっ」 ピンと尖った乳首を指で押しつぶされて全身が跳ねる。 「相変わらずヤらしいピンクだね」 瀬名がくっと含み笑いをする。 「うるせーよ……」 「台詞と表情が一致してない。羽柴くん可愛い」 俺を組み敷く瀬名の顔は男の色気を纏っていて、嫌いな筈なのに見惚れてしまう。 こんな瀬名を知っているのは多分俺だけ。 そして俺をセクハラ対象にするようになってから、瀬名の髪はサラサラで、無精髭も見当たらなくなった。 俺に気を使っているのだろうか。 どう思われようと構わなければ、身だしなみに気を付けたりはしないだろうし、ほんの少しは俺を意識していると思っていいのかな。 まぁ、汚いよりキレイに越したことはないとは思うけど。 瀬名のセクハラはこうして相変わらず続いていて、俺はされていること全てをネタにこの行為を強要させられていた。 セックスはしていない。 あくまで触り合いに過ぎない。 でも、俺も、多分瀬名も、言い訳めいた理由をつけてこの行為に溺れてる。 「羽柴くん、自分でシて」 耳元で囁かれて熱が下肢に集まった。 「やだ……出来ない……」 「恥ずかしい?」 「ったり前だろ!」 「可愛い。俺にオナニー見せてくれたら今日は帰ってもいいよ」 言いながら濡れた性器の先を指でくるくると撫でられた。 「あっ、あ」 「ちゃんとニャンって鳴いてね」 「……くそっ。じゃあお前も脱げよ。お前だけ脱がないなんてずりぃよ……」 瀬名はいつも自分だけ服着たままで性欲処理する。 俺だけ脱がされ全身くまなく見詰められ、完全にコイツのオカズだ。 むかつく。 「いいよ」 ニコッと笑ってシャツのボタンを全開にする。 どこで鍛えてるのか知らないけど、胸板はそこそこ厚みがあって腹筋もキレイに割れている。 信じられないことにそんな身体を見て欲情する俺がいて、心底嫌になる。

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