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第39話
上体を上げた俺に、コイツはもう恒例となった黒いネコ耳カチューシャを着ける。
小さな鈴が耳の先についていて、しゃらしゃらと小さな音が鳴る。
俺はそれを着けて首を軽く傾げて見せる。
「にゃ……」
四つん這いで手を丸めて招き猫みたいにポーズをとると、瀬名は満足そうに、いやらしい男の笑みを浮かべた。
瀬名の欲情した顔。
素顔も、エロい顔さえも、俺だけが知っている。
そう思うと俺の心がどこか満たされる。
瀬名の眼が俺のイヤらしい姿を欲し、俺はそんな瀬名の顔が見たくて、そろそろと自分の性器に手を添えて気持ち良くなるように動かした。
「あっ、あ、ぁ……ん」
二人しかいないこの異常な空間は常識を取っ払って俺を大胆にさせた。
何も身に付けていない脚を大きく開いて瀬名に見せ付ける。
胸の突起を弄りながら、性器を扱き、自分の好きなように先端をくりくりと親指で撫でまわしながら、瀬名の表情をじっくりと観察するのだ。
「んっ、先っぽ、好き……っ、ぁっ……」
乱れる俺を見て瀬名もまたデカイイチモツを出し自己処理を始めた。
ぶるっと弾けるように飛び出した瀬名の中心も先が濡れていて光っている。
雄々しい茂みに覆われた少しくすんだ肌色が異様にいやらしい。
「先っぽだけ?っは……」
「んんっ、ち、乳首、も好きっ……」
「っ、おっぱいって言ってごらん?」
「お……、おっぱぃ……、弄られるのも、すき……」
「あぁ、もっともっと、エロい言葉言わせたいけど、また次のお楽しみにとっておこうかな?」
「あ、うぅ……」
「ほら、羽柴くん、兜合わせしよ」
「ひぁんっ、や、やっ」
「嫌がられると余計勃起する。可愛い。羽柴くん、可愛い。ねぇ、にゃんにゃん喘いで?」
そう言って、瀬名の手が二人分の熱を握り上下に動き始めた。
「ひゃっ、あっ、あぅ……っ、にゃっ、ぅにゃあぁん、いや、やぁっ」
「喘ぎ声、めちゃくちゃ可愛い」
大きな手が性器を包んで何度も往き来して、精液を出したくて腰が震えた。
限界だ。
「や、せなぁっ、も、出るっ……」
「いいよ?イキ顔見せて」
「いやっ、やだっ、見ない、でっ、」
俺が両手で顔を覆おうとすると瀬名の手は器用に俺の両手首をまとめて掴み、頭の上へ持ち上げた。
「イって……」
括れのところをきつく扱かれ一気に射精感が駆け上がる。
「あっ、いくっ、いくっ、あぁんっ……」
「っ、くは、エロ……っ」
部屋の空気が一気に濃く、熱くなり、俺も瀬名も上り詰めてほぼ同時に吐き出した。
俺の体は瀬名に欲情する体に作り替えられてしまったみたいだった。
顔を見ても、体を見ても、匂いを嗅いでも、触れられ、見られ。
何をされても相手が瀬名と認識すると、体が期待してしまう。
けれど、事が終われば着替えて帰るだけだった。
物凄い虚無感に襲われて、俺は何してるんだろうと落ち込んだ。
しかしまたそれも、瀬名によって掻き消され、何度も巡り、ループする。
俺は自分がわからなかった。
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