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第51話

これは……。 付き合ってると思われてねーかっ!? 「や、ちょっと待って、違うから!付き合ったりしてねぇよ!」 「じゃ何。セフレとか……?」 と林田。林田のクールな視線が、わー羽柴不潔ーって物語っている気がした。 「んな訳ねえだろ!大体まだヤってない!でっ!」 言った途端、林田の拳骨が頭に落ちる。 「声がデカいよバカ」 「っていうか、カマかけてみただけなんだけど、……瀬名と本当にそうなんだな」 風早が変に感心した面持ちで言う。 「ええ!?カマかけ……」 カマかけられてたのか。 風早……意外とやな奴だな、そんなことしそうにないのに! それよりも、さっきから変な汗が止まらな い。心臓がばっくんばっくん言ってる。俺って小心者。 ……怖いんだ。 二人に軽蔑されてやしないかって。 男と、しかも瀬名だし。 「とうとう女じゃ飽きたらず男に走ったか」 林田はいつものポーカーフェイスだが呆れた口調だ。 「そういうんじゃねぇよ」 何だか責められてる気がしてこっちも強気な口調になってしまった。 「まぁ、人の性癖にあれこれ言うつもりはないから安心しろ」 林田は優しいんだか何だかわかんないな。 「それはそうだな。俺達も人のこと言えないし」 ははっと風早が笑う。林田は眉をぎゅっと寄せて風早を見ていた。 ん?何だ? この二人、何か変。 風早の言葉が何か意味深だったけどあまり深く考える余裕がなくて、本題へと戻る。 「瀬名とそうなっちゃったのは初めは不可抗力で……で、その後琴音ちゃんに襲われたのがきっかけで、付き合いが深くなったっていうか」 風早と林田の二人が、え!?と言う顔をした。 「あ、でも、そんな大したことじゃないんだけど、その時も瀬名が助けてくれて。で、いつの間にかそんな感じになっちゃって……。んで、終業式の日に瀬名からメールがあって瀬名ん家に行ったら八雲がいてあんなことに。瀬名は調べてくれるって言ってたけど……。来週皆で林田の別荘行くだろ。八雲と俺の接点って瀬名しかないし、このメンバーで旅行に行くのは何かありそうで怖いんだよ」 もやしの八雲が怖いとか鼻で笑われそうなこと言ってる自覚ある。 だけどあんな弱そうな八雲が俺に敵意を剥き出しにして鋭い目で本当に憎たらしそうに俺を見ていたんだ。 瀬名にすがり付いて俺が犯人だと必死に訴えて。 その状況はどう考えても異常だったと思う。 怖い。 風早と林田は顔を見合わせた。 そして、ポンと風早の手が俺の頭に置かれ、またポンポンと撫でるように上下する。

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