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本当の気持ち

休みの日ほど時間の経過が早く感じられるものだ。 課題に手をつけるでもなく、バイトに勤しむわけでもない。 ただただボーッとエアコンの下で無駄に時間を過ごし母親に怒られた。 学校近くのファミレスで風早達に八雲の事以外に瀬名のことまでカミングアウトするハメになった俺は、この5日間生きた屍みたいな生活をしていた。 何も手につかないっていうのは正にこういうことなんだと実感した。 一番の気掛かりは八雲のことだった。 俺はやってもいない事を責められて、心にかなりのダメージを受けた。 あとは瀬名のこと。 瀬名への俺の気持ちは、やっぱり何かの間違いだったんじゃないかって思いたかった。 だってどう考えたってどうして好きになってしまったのかよくわからない。 変だと思ったんだ。 でも結局は、会えない時間が瀬名とのことを考える時間となり、更に想いを膨らませてしまう結果となってしまった。 海かぁ。 行きたいような、行きたくないような……。 けどさすがに、ドタキャンは出来ねぇな。 林田は親から別荘借りる了承とってくれてそんなことしたら面目丸潰れだろうし、風早は俺に着せられた汚名を晴らないことになってしまう。 はぁ、と溜め息をつきながら、クローゼットからスポーツバッグを取り出して旅行に必要な物を準備した。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□ すぐにその日はやってきた。 緊張であまり眠れなかった俺でも、今日は絶対起きなきゃだめだぞと自分を叩き起こす。 学校近くの最寄り駅に始発に合わせての集合だ。 真夏でも午前3時となれば、まだ薄暗い。 家族を起こさないように音を立てずに家を 出て玄関ドアを施錠する。 少し涼しくて気持ちいい。 小さめのスポーツバッグを身体に斜め掛けし、自転車で駅まで向かった。 早朝だということもあって交通量も少ない。 サイクリングも悪くないかもと思わされる気持ちよさがある。 駅に着き、無人の駐輪場に自転車を止め、駅構内へと向かう。 階段を上がろうとした時、壁に沿って置いてあるガチャガチャが目について足を止めた。 「……ももにゃんだ」 瀬名の大好きなももにゃんが、やっぱりちょっとエッチなM字開脚のポーズで小さなフィギュアのキーホルダーになっていた。 一回三百円だ。 別に瀬名にあげたい訳じゃないからな! そう自分に言い聞かせながら、何故かお金を投入しガチャガチャを回してしまった。 ……自分が怖い。

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