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第79話
羽柴君の肌は男にしては柔肌できめ細かい。手のひらにしっとりと吸いつくようなみずみずしさだ。
いつもピンで留めている前髪は、下ろすと途端に更に幼さを増して虐めたくなる程可愛くなる。
乳首は綺麗なピンク。遊んでいたとは思えないくらい、桜色。
「はっ、静まれバカ息子!」
ヤバい。 ちょっと羽柴君の上半身を想像しただけでこれだ。
スラックスのファスナー部を押し上げて息子がテントを張ってしまった。
……取り敢えず、着替えよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
瀬名と二人きり。夏休みの旅行以来だった。
変に緊張する。だってこれから訪れるのは恋人となった瀬名の部屋、だし。
それにアイツ変態だし、変なプレイさせられそうで恐い……。かと言って学校で盛られても困る。
うーん。
深く考えるのが苦手なタイプの俺は取り敢えず瀬名の部屋のインターホンを押した。
ピンポーン。
何だかそわそわする。
数秒してガチャリとドアが開いた。
ぬっと瀬名が瓶底眼鏡のまま顔を出した。
「いらっしゃい」
「よ。おじゃましま~す」
相変わらずムサい感じの瀬名だけど、取り敢えず髪はブローするようになったみたいで毎日ツヤサラしてる。
身だしなみとしては最低限というラインだから、当然っちゃ当然なんだけど、俺の為にそうしてくれてるとわかるとちょっと嬉しい。
俺は制服のままだけど、コイツは私服だ。私服は決してセンスあるとは言い難い地味で無難なシャツにパンツ姿が多い。
今だってそう。だけど、長身で無駄な肉のない体、長い手足。このスタイルの良さが地味服を引き立てると言うか。
本当にモデルみたいなんだコイツ。
……羨ましいとか思ってねぇよ?
いやちょっとは、思ってるかも。
靴を脱いで玄関から中に足を踏み入れる。何か変な感じ。何度もここに呼ばれて、エッチなこといっぱいしたのに。
恋人ってだけで、すごく新鮮なこの景色。不思議。
「適当に座って」
「あ、うん」
瀬名がテレビを点け、ペットボトルで飲み物とグラスを運ぶ。
「コーラでいい?」
「コーラ好き、サンキュー」
あ、そうだ、とここに来る前にコンビニで買ったポッキーをカバンから取り出した。
「一緒に食おうぜ」
「……」
「ん?」
瀬名がじっとポッキーを見つめている。
「もしかして好きじゃない?これ」
「いや、全然好き」
瀬名の視線がポッキーから俺に移る。
「ポッキーゲームしたい」
「え、あぁ、ポッキーゲームね。……いいよ。やろっか」
真面目な顔して何をいいだすかと思えばそんなことか!
瀬名の頭は常にピンク色だ。
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