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第80話

ポッキーのパッケージをパリパリと開け、中袋をバリッと破って中身を一本取り出す。 俺はチョコのかかった方を口に加えて瀬名には反対側のプレッツェル部分を向ける。すると瀬名が一瞬固まった。 「ん?」 どうした?やんねーのか! 瀬名は固まった後、唐突にパンツのポケットから携帯を取り出し俺を撮り始めた。 「か……可愛い!羽柴君、キュート」 キュートじゃねぇ……! おい、唇突き出してる身にもなれ! 心の叫びだ。 撮影し終えて気がすんだのか、瀬名は口元をにやつかせながらガシッと俺の肩を掴む。 自分の恋人ながら、気持ち悪い。 「いただきます」 徐々に近付く瀬名の顔。 俺は瓶底眼鏡に手を伸ばしてそっと外す。 「……っ」 ドキンと心臓が大きく脈打つ。 瀬名の顔が露わになる。男らしくて綺麗な顔だ。 瀬名の涼しげな眼がギラつきながら俺を見据えている。 俺が欲しいって 瀬名が全身で訴えているようだった。 熱の籠った眼差しにこのまま食われてもいいって気分になってしまう。 俺は外した眼鏡をソファに置き、瀬名の背中に手を回して自分から引き寄せる。 瀬名の口がポッキーの端をくわえた。 カリカリと噛み砕かれて、あっという間にポッキーは短くなり、俺の唇がぱくりと捕らえられる。 さすがに口の中にポッキーがあるため、そのまま深いキスなんてしなかったけど、軽くチュッとキスされた。 優しいキスだった。 でもそれは、これから始まる嵐の前の静けさに他ならない。 「ごめん、我慢出来ない」 直ぐにソファに押し倒されて、口の中に残ったポッキーを慌てて飲み込む。そんなの待てないと言わんばかりに瀬名の唇が頬に首筋に降ってきて。 時々キツく吸われると、ぞわりとした感覚が体を駆け巡り腰が揺れた。 瀬名の長い指が器用にシャツのボタンを外す。中に着ていたTシャツを捲り上げて、つーと俺の薄い腹筋に指を滑らせる。 「羽柴君、肌きれい」 「ぁッ……」 「ここ、感じるの?」 素直にこくんと頷く。 多分、瀬名の指だから、余計にだ。 瀬名はお臍の周りをクルクルと撫でて俺の唇を塞いだ。 「……ふ、ぅ」 遠慮がちに入ってきた舌は俺から絡めると途端に大胆に動いて、探し物をしているみたいに色んなところを動き回る。 まるで猛獣みたいだ。俺はさながら捕食されてる小動物みたいなものかもしれない。 唾液で唇がびしょびしょに濡れる程貪られ、その間も瀬名の指は俺の腹や胸を刺激して鼻から漏れる声が押さえられなかった。 「ん、ん、んぅ……」 ぬちゃ……と唾液の音がして唇が離れたが、瀬名の手は休むことなく動き続ける。 「乳首可愛い」 「え、あ、やっ……」 エロ親父みたいな事言って、指先でカリカリと俺の乳首を掻く。その刺激がダイレクトに下半身に響いて。 俺、女の子みたいに乳首で感じちゃってる。 「ひっ、あっ……あぁんっ」 はっとして口元を押さえた。 何今の声!? 女子か!? 瀬名がくっと笑って意地悪い笑みで俺を見下ろす。 「今の可愛い声何?もう一度聞かせて?」 あああ、忘れてた!こいつはヤらしいことしてる時は基本Sなんだってことを! 強い力で口元を押さえた手をはがされて、俺の両手首を片手で頭上に固定する。上に乗る瀬名はまた乳首を弄りだした。

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