7 / 22

第7話

始業式の時間になり、正明は他の教職員と共に体育館へ向かっていた。 入学式は翌日のため、在校生である2年生と3年生の前で正明は着任の挨拶をすることになった。 「今年度から新しく本学園の教師となりました、額田正明先生です」 始業式の司会を務めていた善久が正明のことを紹介する。 正明は壇上に上がり、一礼するように言われていたのでその通りにしていた。 すると、館内にどよめきが沸き起こる。 「うわ〜っ、晃明先生にめっちゃソックリ!!」 「お前バカか?先生のお別れ会の時来てたのに見てなかったのかよ」 「晃明先生より可愛い顔してない?俺は正明先生の方がタイプかも」 生徒たちの声は正明の耳にも入っていた。 (う…っ、学生時代も可愛いって言われたりしてたけど、年下の子たちにまで言われるなんて…) 小柄で童顔な正明は、生徒たちに騒がれ、恥ずかしくなっていた。 「静粛に。額田先生は1年生の数学と水泳部の指導教師、そして2-Aの副担任として1年目を迎えることになっています。先生、一言お願いします」 善久の一喝でしんと静まり返った館内だったが、正明の担当教科等が発表されると生徒たちのヒソヒソ話をする声があちこちから聞こえてくる。 「晃明先生と同じ数学かぁ。1年、うらやまし〜」 「よっしゃ!!副担任なら声かけやすいじゃん!!!」 「2-Aになったヤツ、良いなぁ…」 善久からマイクを渡されると、正明は生徒たちの声を気にしないようにしながら話し始める。 「おはようございます、今日から大津学園高校で教師として働くことになりました、額田正明です。僕は兄に憧れて教師になりました。今年卒業したばかりで未熟ではありますが、精一杯頑張りたいと思っていますのでどうぞよろしく」 一礼して善久にマイクを返す正明。 一瞬目が合った善久は、口元を緩ませ笑いかけてくれたように見えた。 館内は大歓声と拍手の音に包まれる。 挨拶を無事に終えて安堵した正明だったが、生徒たちの異様とも言える凄まじい熱気にこの先やっていけるのかと少しの不安を覚えていた。

ともだちにシェアしよう!