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第11話
翌日、正明は1年生の数学を担当することになっていたので入学式に参加し、自己紹介することになっていた。
他学年は休校で、部活動は午前からスタートしているので、正明は水泳部には式が終わり次第参加するつもりだった。
「おはようございます、額田先生」
「教頭先生、おはようございます」
出勤して職員室に向かうと、善久が最初に声をかけてくれた。
「昨日の水泳部はどうでしたか?」
「とても楽しかったです。部員たちの一生懸命な姿に、僕も頑張らないとって思いました」
「そうですか。とても充実した時間だったんですね」
善久は口元に笑みを浮かべながら話す。
「はい。あの…拓哉くんとも何とか上手くやっていけると思います…」
正明は周囲の教師たちに聞こえないようにした方がいいような気がして、小声で伝えていた。
「そうですか。それは良かったです…」
善久はそれに対し、表情を変えることなくさらりと言った。
「おはよー、正明センセ」
「前山田先生、おはようございます。先生も式に出られるんですね」
善久と話し終えると、正明は席に向かい彰一に挨拶した。
「うん、オレ今年は全学年の世界史担当だからね。ところで昨日とか大丈夫だったの?めっちゃ生徒に囲まれてたよね」
「あ…はい、教頭先生に助けていただきました…」
「そういうトコも晃明センセと同じだね。教頭もいつキミに変なヤツが近づいて来ないか気が気じゃないだろうね」
彰一はニヤニヤしながら楽しそうに言う。
「そういえば水泳部の指導もするんだっけ?どうだった?コーチやってる人、確か晃明センセと同級生だったよね」
「はい、兄とは高校時代チームメイトだったと言っていました。なので僕にも気さくに接してくださって助かりました。部員たちは皆一生懸命だと思いました」
「ふーん。チームメイトだったってコトは、教頭のコトも知ってるよね。言われなかった?教頭が晃明センセのコトどう思っていたかとか」
「い…いえ…そんな話は……」
彰一の言葉に、正明は動揺してしまう。
「あー、言われたね、その様子じゃ」
正明の様子に、彰一は妖しい笑みを浮かべていた。
「教頭、気づかれてないって思ってんのかな。ま、教頭が誰を好きかなんてどうでもいいコトなんだろうけど。あ、生徒といえば大津も来てた?昨日言い忘れたんだけど、理事長の孫で教頭の甥っ子だから野放しみたいなヤツなんだよね」
「はい、拓哉くんとも話をしたり、一緒に泳いだりしましたよ。ちょっとだけ近寄りがたい感じですが練習熱心な生徒だと思います」
「へー、すごいね、あいつと話せたなんて。あいつ、スサノオみたいなヤツなんだよね、オレ的には。あんなだけど成績は良くてさ、見た目も悪くないから隠れファンが多いんだよね」
「そうなんですね…」
知らなかった拓哉の一面。
「正明センセ、ある意味晃明センセよりすごいね。オレも大津のコトどうしようかって思ってたから安心したよ」
「そんなことないです。たまたま昨日話せただけかもしれないので…」
彰一と談笑していると、式の開始のチャイムが鳴る。
「さ、行こうか。正明センセ、今日は流石に騒がれないと思うから心配しなくていいと思うよ」
「は…はぁ……」
彰一に肩を叩かれ、正明は職員室を後にした。
彰一の言う通り、入学式では新入生たちに騒がれることなかったので、正明は妙な緊張もせず挨拶ができた。
が、入学式を終えて部室に向かおうとした時、正明は見覚えのない生徒に呼び止められる。
学生服の襟についたバッチから、3年生ということだけは分かった。
自分よりも少し背の高い、ガッチリとした体型のその生徒は正明と話がしたいと言ってきた。
「これから水泳部に行かなきゃいけないから、少しだけなら大丈夫だけど…」
ふたりは校舎から部活棟に行く途中にある、中庭で話をしていた。
中庭は部活の生徒が通る以外、あまり人気のない場所だった。
「あの、正明先生は好きな人いますか?」
身体には似合わない、消え入りそうな声で生徒は言った。
「好きな人?今はいないけど…」
目の前で恥ずかしそうにしている生徒の姿に、正明は嫌な予感がした。
「じゃあ、俺の事好きになってもらえますか?」
「え……?」
生徒の声のトーンが上がり、正明に迫ってくる。
「いないなら、いいですよね?」
「ちょっ……何するんだよ……!!」
生徒は正明の両方を力強く掴む。
正明は動揺してしまい、大きな声を出していた。
「先生、俺本気なんです。昨日初めて先生を見て、初めてこんなにドキドキしてるんです。俺、先生の事が…」
「…その気持ちは理解したいところですが、正明先生、困っていますよ」
そこに、善久が現れてふたりを引き離す。
「き…教頭先生…!!」
生徒より更に背の高い善久は、見下すような冷たい目線で生徒を見ていた。
「今、私が見たことは忘れてあげますから、このような事は二度としないように。いいですね?」
その声は静かな怒りで満ちていた。
「ひ…っ、すみませんでした…!!」
生徒は真っ青な顔をして走り去っていく。
「大丈夫ですか?顔色が悪いですね。ひとまず保健室へ行きましょう。保健医は帰ってしまったんですが、少し休んだ方が良いです」
「え…あ……っ…!!」
善久は正明に微笑みかけると、正明の体を軽々と抱き上げて保健室まで運んでしまう。
「あの…ヨシさん…僕…大丈夫ですけど…」
「いえ、大丈夫ではありません。柔道部の生徒とはいえ、君は無防備過ぎます…」
正明を抱き上げながら、善久は保健室のドアに鍵をかけ、入口にあるカーテンもかけてしまう。
その後ベッドに正明を下ろし、その周囲にも間仕切りのカーテンをかけていた。
少し苛ついた印象の口調の善久に、正明は返す言葉を探していた。
「君には誰ひとり触れさせません、絶対に……」
「え…っ…ん……っ!!」
メガネを外した善久の顔が迫ってくる。
その表情は怒りが収まっていない様だった。
肩に腕を回され、善久に引き寄せられていた正明は、善久からのキスを拒むことか出来なかった。
(ウソ…僕…ヨシさんにキスされてる…)
びっくりして大きな瞳を見開いていた正明だったが、善久が唇を舌先で触れてくるとその刺激に目を閉じてしまっていた。
「んんっ…はぁ……っ…」
善久の長い指は正明の髪や頬を撫で、そうしながらも舌でこじ開けた正明の口腔内を蹂躙する。
(やだっ…こんなの…っ…)
交際経験がそれなりにあった正明だったが、男性同士は初めてな上にこんなに情熱的なキスは初めてだった。
善久から離れようとしても、善久に阻止され、身体を密着させられる。
善久の熱い鼓動が伝わってきて、正明も身体が熱くなっていくのを感じた。
「ヨシさん…なんで……」
「何故?言ったでしょう?君には誰ひとり触れさせないと……」
「や…あ……っ…!!」
唇が離れたので再度善久から離れようと試みる正明だったが、体格と力の差を思い知ることになった。
正明はベッドに倒され、再び善久から熱いキスをされていた。
「んぅ…っ…んんんっ…!!」
善久はキスをしながら正明のベルトを外し、ファスナーを下ろすと勃ちあがりつつある正明のシンボルに下着越しに触れる。
「君のその顔もその声もとても可愛いですね。……晃明先輩もこんな風になったのでしょうか……」
「あぁ…っ…!!」
善久は正明の耳元で囁きながら、布越しに正明のモノを扱いた。
しばらく自己処理をしていなかったソコは快感に震え、すぐに勃起してしまう。
与えられる快感に正明はなす術もなく、声を上げてしまっていた。
「ずっとこうしたいと思っていました。晃明先輩を私だけの先輩にしたいと。それなのに…」
「ヨシさん…も…やめてくださ…っ…」
正明の声は、善久の耳に届かない。
「晃明先輩…」
自分を見るその切れ長の瞳は、悲しみに満ち溢れているように正明には見えた。
(ヨシさん…僕のこと、お兄ちゃんだと思ってるの…?)
目が合うと、善久はまた正明にキスをする。
そうしながら、正明の下着をずり下ろし、堅くなっているモノに直に触れた。
「んんーっ……!!」
善久に数回扱かれただけで、正明は達してしまう。
「…早いんですね、先輩。ですが、とても可愛かったですよ…」
「はぁ…ぁ……ひ…っ…!!」
達したばかりの正明は、身体をビクビクと震わせた。
そんな正明をよそに、善久は掌いっぱいに吐き出された正明の精を潤滑剤代わりに使い、自分を受け入れてくれる場所へ侵入していく。
ソコは正明にとって、触れたことのない場所だった。
「や……っ……いた…っ…!!」
半ば強引に入ってくる善久の長い指。
「大丈夫です、すぐに良くなりますから…」
「そ…そんな…あぁっ…!!」
指が一番良いトコロを刺激すると、達したばかりのモノが再び勃ちあがる。
「敏感なんですね、先輩って。私の拙い行為にこんなに悦んでくれるなんて…」
「あぁっ、もうやめて…っ…また出ちゃう…っ…!!」
善久が指を増やし、ソコを更に刺激する。
正明は押し寄せる快感に耐えきれず、2度目の絶頂を迎えてしまっていた。
「はぁ…っ…」
連続の射精に、正明は何も考えられなくなってしまう。
(あぁ…もう…どうでもいいや…。ヨシさんが僕をお兄ちゃんだと思ってこんなことをしても…)
眼前の善久は涙が出たせいかぼんやりとしていてどんな表情をしているのか分からないが、触れてくる手や吐息が熱くて心地良かった。
「いいですよね…先輩…」
善久がベルトを外し、ファスナーを下ろす音が聞こえる。
指が引き抜かれると、ソコにもっと熱く堅いモノが押し当てられた。
「…愛しています、晃明先輩。ずっとあなただけを……」
正明の指に自らの指を絡めながら、善久は腰を進めてくる。
「ゔぁっ…あぁぁぁっ……!!」
善久の容赦ない挿入に、正明は痛みから声を上げてしまう。
「あぁ…先輩の中…すごく良いです。…私を締め付けて離さない…幸せです……
」
「はぁっ……んんん…っ…」
自分の心地良いリズムを刻みながら、善久は正明にキスをする。
(あぁ…っ…僕…何か変…っ…痛みがなくなってきて…気持ち良くなってきてるぅっ…!!)
指で触れられていたイイ部分を刺激され、正明は善久を一層締め付けていた。
「…っ…先輩…っ…このまま出しますよ…」
「ひ…っあ…あぁぁっ…!!」
善久は正明の最奥まで突き上げると、ソコに欲望を吐き出す。
(で…出てる…っ…僕の中にヨシさんのが出てるよぉ…っ…!!)
善久の脈動を感じながら、正明は気を失っていた。
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