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一話【告白(中)】

 それでも、ドキドキはする。放課後、相田には教室で待ってもらうように手紙を書いた。  読んでくれたかなとか、無視されないかなとか、一日ずっと落ち着かない気持ちでいたオレは、友達が帰っていく中ドキドキとソワソワが混ざった感情を抱えながら、教室に残り続ける。  教室に一人になった時、緊張が爆発しそうになったオレだったけど、相田の席に鞄があるのを見て、必死に抑えた。  深呼吸を繰り返していると教室の扉が開いて……無表情な相田が教室に入り、オレに近付く。  必死に言葉を探して、必死に気持ちを伝えた。  ――それが、十秒前。  十秒経って、やっと相田が口を開く。 「根拠は?」  ――これが、今現在。  予想外すぎる返答に、思わずオレは過去を振り返ってしまっていた。つまり、現実逃避だ。  難しいことは、分からない。相田が訊いている『根拠』が何なのか、よく分かっていないんだ。  相田は親指と中指でメガネを押し上げると、オレを見つめた。  初めてしっかりと目が合ってるのに、全然嬉しくないのは何でだろう。 「……こ、んきょ……?」 「そう、根拠」 「えっと…………? どういう意味?」  おかしい。オレ、告白したんだよな? なのに何でこんな難しいこと訊かれてるんだ?  混乱しているオレとは対照的に、相田は淡々と語る。 「君が本当に自分のことを好きなのか……そして、どうして『好きだ』という確証を持ったのか……自分はそれを訊いている」  相田はもう一度メガネを指で押し上げて、続けた。 「男がいいなら、自分でなくてもいいだろう。高身長、眼鏡をかけている、不愛想……どれを取ったって、自分じゃなくてもいいのでは?」 「それって、メイワクって……意味?」 「質問に質問で返すのは、感心しない」  相田は、オレの告白に引いているようには見えない。  だけど、イエスなのかノーなのかよく分からない反応だ。

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