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一話【告白(下)】
相田はオレが本当に相田を好きなのかどうかを知りたいのか……もしかしたら、罰ゲームで告白させられていると、勘違いしているのかもしれない。
オレは相田の目を見て、しっかりと答える。
「相田を見てたら、超好きって思ったから、好きだ。……ちゃんと、本気」
「説明になっていないが……その言葉を理解したとしても、自分達は出会って一ヶ月の筈だが」
「だから何?」
相田は自分の顎に手を当てて、考えるような仕草で俺を見下ろす。
「新生活に浮足立って、高揚感と恋心を錯覚している……という可能性があるのでは?」
「……ハァ?」
思わず、相田を睨んでしまった。
その言葉は、オレの気持ちが恋ではないと……そう決めつけられているようで、腹が立つ。
告白を断られるよりも、酷い言葉だ。
「ちゃんと好きだって言ってるだろ!」
「感情論は当てにならない」
「難しいこと言うなっつの! 好きなんだから好きなんだよ! それでいいだろ!」
冷静な相田に怒鳴りつけると、相田は眉間に小さくシワを作った。
「……自分には、恋心というものが分からない。だから、君の感情論を……言葉を、理解してあげられそうにない」
相田は、真剣だ。真剣に、オレの言葉に疑問を抱いている。
(何だよ、それ……!)
恋心が分からないから、人の気持ちを理解できないって……意味分かんねー。
男同士だから……そういう理由で、相田が悩んでいるわけじゃない。好きと言われて、メイワクしてるわけでもなさそうだ。
――一ヶ月しか経ってないから、信じてもらえないのか?
オレは考え込んでいる相田を見上げて、指を指した。
「二ヶ月!」
ビシッと人差し指を向けると、相田が小さく眉を動かす。
「二ヶ月経ってもオレが相田を好きだって思ってたら、オレの言葉を信じろ!」
「根拠も無いのにどうやって――」
「じゃあ二ヶ月の間に根拠ってやつを考える!」
オレの発言に、相田は目を丸くした。
普段何を考えているのか分からない相田が表情を変えるのを見ると……ちょっと、嬉しい。
でも、これを伝えたって相田が求める根拠にはならないんだろう。
だったら、相田が納得するような根拠を見付けたらいいだけだ。
「……君の告白はひとまず、保留にしよう」
「分かった」
正直全然何にも分かんないけど、オレは力強く頷く。
――絶対に、相田を納得させてやる。
オレはそう決意して、相田と別れた。
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