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二話【梅雨入り(上)】
相田に告白してから一ヶ月が経ち、梅雨を迎えた今日この頃。激しく雨が降っている……そんな、朝。
オレは……かなり、イライラしている。
湿気だとか雨のせいじゃない。
オレが、イライラしているのは……。
(相田のヤロウ……ッ!)
そう、相田のせいだ。
じゃあ、具体的に相田の何が悪いって……態度が悪い、気に食わないのだ。
色々と曖昧な状況になっていると言っても、オレは相田に告白した。返事は保留になっているけど、オレが相田を意識するのは仕方ないじゃないか。
告白した次の日、相田のことをムシするのも変だと思い、勇気を出して挨拶してみた。
『お、はよう』
自分でもガッカリする程、ガチガチに緊張した挨拶だ。周りから見ても、オレ達の間に何かあったんじゃないかと思われそうな、それくらい不自然な挨拶だった。
それに対して、相田はこう返したのだ。
『おはよう』
無表情、それでいて淡々とした口調。チラッとオレを見たけど、すぐさま本に視線を戻す。
まるで告白なんかなかったかのような……オレなんかに興味が無さそうな反応だ。
いつも冷静な相田が戸惑ったり緊張していたら、誰もが不思議に思うだろう。それこそ、オレ達の間に何かあったんじゃないかと、疑われると思う。
そうならない為に、普段通りの相田でいてくれているんだって……最初はそう考えてた。
――が、実際は違ったのだ。
教室で二人きりになって、誰かに気を回す必要が無い状況になったというのに、相田は変わらない。
『また明日』と言っても、特に目立った反応を見せず『あぁ』とだけ答える。本から目を逸らさずに、だ。
こっちはこの一ヶ月間、相田のことばっかり考えているのに……相田は、何もなかったかのような対応。
イライラするなって方が、ムリな話だろう。
(根拠が言えないから、信じてもらえてないのか……?)
オレがクラスメイトとバカ騒ぎしていても、体育でいい動きをしても、相田は気にすらしていない。
オレが相田のどこをどう好きか言えていないから……だから、相田はオレの告白を【告白された】とカウントしていないのなら……悔しいけど、相田の反応は理解できる。
クラスメイトと雑談をしながら相田のことを考えていると、予冷が鳴り響いた。
クラスメイトが各々の席に座る中、オレはふと……あることに気付く。
(相田、まだ来てない……?)
相田が席にいない。と言うか、教室の中にもいないのだ。
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