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三話【放課後(上)】

 朝の宣言通り、一日中ジャージ姿で過ごした相田の周りは、休み時間毎に女子がたかるという不思議な光景ができ上がっていた。 「相田の奴、今日一日でモテ期きたんじゃないか?」 「俺もソレ思ったわ~。地味にいい体してたよな」 「お前、どこ見てんだよウケる!」  放課後……オレと仲のいいクラスメイトがそんな雑談をしている。  普段は相田の話なんて全然しないくせに、今日はずっと相田のことばかり話しているのだ。  そのくらい、今日の相田は凄かった。  女子に囲まれて、質問をされたら律儀に答えたりするから、更に女子に好かれる……いっそ計算なんじゃないかと思うくらい、相田はモテていった気がする。  ……勿論、全然面白くない。 (本読みながら女子の相手するとか、何なんだよ。本読みたいならムシすればいいじゃん)  相田は無表情のままだったけど、本を読んだままでもあったけど、女子と話していた。相田の素っ気無い態度にも、女子は喜んでいたように思える。  何もかもが、面白くない。相田が女子と話してるのも、女子が相田にキャーキャー言って騒いでるのも……いい気分がしなかった。 (梅雨の、バカヤロウ……相田の、バカ)  付き合ってるわけでもないし、何だったら告白自体無かったことにされているけれど……それでも、もてはやされている相田は見たくない。  今日一日で盛り上がっている女子と比べて、絶対オレの方が相田を好きな筈だ。  けど、相田にそう言ったら『根拠は?』と言われるに違いない。そう言われたら……何も、答えられないと思う。 (ただ、凄く好きって……それだけじゃ、ダメなのか?)  思わず、机に突っ伏してしまう。頭上からは、オレを呼ぶクラスメイトの声がする。 「傘野? どうした~?」 「何でもない……」  あと一ヶ月……その前に、相田が誰かと付き合う可能性だってあるんだろう。  告白したあの時は、相田が嫌がってるとか引いてるようには見えなかったけど……もしかしたら、そうだったのかもしれない。  オレが、男だから……バカだから、相田は根拠だなんだと言って、遠回しにオレを振っていたのかも……そう思うと、泣けてきそうだ。

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