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第2話
「いやいや、驚きましたねえ。大内さんは、狭霧くんと知り合いでしたか?」と間島が大袈裟な身振りと声で隼人に聞いてきた。
「ええ。高校の後輩です」と隼人は間島を見て告げた。
「高校の?それは、それは。ここで会うとは、全く、いや、奇遇ですねえ」間島は言った。
「狭霧くん、高校どこ?部活が一緒でしたか?」
「ずいぶん前の話ですから」と隼人は答えた。
「いやあ、大内さんまだ若いから、高校って言っても10年もたってないでしょう。私なんて、高校時代の後輩にあっても、外見が変わりすぎて思い出してもらえませんよ。はっはっはっ」と間島は禿げ上がった頭をなでて笑った。
場を和ませようとする間島に合わせて、佐久間が狭霧圭に名刺を出す。「大内警備の佐久間です」
圭は、その動作には礼儀正しく自分もポケットから名刺を差し出した。「狭霧です」
隼人も名刺を出し、圭に渡した。出された圭の名刺には、「狭霧圭」という名前と住所、電話、メールアドレスが書かれている。
住所は一等地のビジネス街だが、ビルの名前からすると郵便物だけ受け取るようなシェアオフィスだ。
電話は携帯番号。味もそっけもない白い名刺に必要最小限の黒い文字。
「まあ、かけましょうかね」と間島は言い、ほぼにらみ合いに近い隼人と圭を座らせた。
それから間島は奥へ行き、冷蔵庫から小さいお茶のペットボトルを人数分もってきて配る。
「今日は、大内社長は挨拶だけじゃなくて、仕事の話でこられたんだよ」と間島は圭に告げた。
圭は間島には素直にうなずいていた。
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