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第6話
数日後、隼人は夜に会社の事務所に鍵をかけ、徒歩5分のところにある自宅のワンルームマンションに帰った。
エントランスのオートロックを開け、3階の自分の部屋に向かう。
すると、圭がドアにもたれかかりながら立っていた。
白いシャツにジーンズの今日もカジュアルな風情だ。すらりとした姿は、美しい絵から抜け出してきたようだった。
隼人は一瞬足を止めたが、すぐに自分を切り替えた。
「なんでここにいるんだ?」と質問する。
「びっくりしただろ」圭が面白そうな声で言う。
「別に」
「びっくりした顔して言うなよ。お前の家調べたんだ」
隼人はドアの鍵を開け中に入った。圭も当然のように入ってくる。
「すごいだろう」
「え?」
「だから、お前の家くらいすぐに調べられるんだ。俺にとっては朝飯前ってこと」
「ああ」先日のミーティングで、経験がないと言ったからだろうか。それを否定しにわざわざ来たのか。あきれてまじまじと見てしまう。「それを言いに来たのか?」
「まさか。用事があってきたんだよ」そう言いながらキョロキョロし部屋を見回した。「若社長が、こんな狭い家に住んでんのかよ」
「若社長っていうな。バカにしてんだろ」
「いえいえ、まさか、そんな」と圭は不真面目に言った。
隼人はネクタイを緩めた。
「会社に近い方が便利だから借りたんだ」
「そうかあ。そういえば、お前の実家、遠いもんな」
隼人は歩きながらスーツの上着を脱ぎ、ハンガーにかける。それからベルトをはずし、スラックスを脱ぐとパンツだけになる。
「おい、なんで急に服、脱いでんだよ」
圭が固まっていた。
「着替え。スーツのままだと疲れんだろ。なんで?」
圭はうつむいて顔をそらしている。
「は?他人の前で急に服脱ぐって、どうかしてるだろ。礼儀知らず。早く服着ろ、筋肉バカ」最後は小さい声だった。
「先輩に向かってバカとはなんだ。だいたい、ここは俺の家だ。勝手に上がり込んできて、どっちが礼儀知らずなんだか」
靴下を脱いでシャツと一緒に洗濯機に入れる。それから部屋着の代わりにジャージを着た。
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