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第7話
隼人はワンルームの狭いキッチンに立ち、冷蔵庫からひき肉や玉ねぎをとりだす。
「夕飯これからなのか?」
「そうだ」
「作るの?」
「自炊のほうが体調がいいからな」
「俺も、そう思う」
隼人は圭をちらりとみた。圭は悪びれずに言う。
「腹減ってるんだ。ごちそうしてくれよ」
「じゃあ、手伝え」
隼人は圭に包丁を渡した。
みじん切りした玉ねぎを隼人が炒めている間に、圭は大根をおろしている。
しんなりいたまった後で、ひき肉やつなぎの卵やパン粉と混ぜ手際よくこねてハンバーグを焼いていく。その間に圭は冷蔵庫をあさり、適当に野菜を取り出してサラダを作っている。
高校生のころ、よく、圭の家で二人で食事を作っていた。和風ハンバーグは、圭の好物だ。
圭がキッチンの引き出しや戸棚を開けて回っている。箸を見つけだし、隼人に振ってくる。
「箸が、一膳しかない」
「人が来ることないからな。買ってない」
「ふうん。割りばしもないのかよ」
「フォーク使えよ。どっかにあるだろ」
「うん」
狭い部屋のローテーブルに、ご飯とみそ汁、圭の作ったサラダを机の上に並べた。
茶碗も2個ないので、適当に皿によそった。味噌汁碗の代わりはマグカップだ。
皿はすべてちぐはぐで、圭の食事はハンバーグプレート、自分のは和風ハンバーグ定食のようになってしまった。
圭は冷蔵庫からビールを勝手に取り出す。プシュッと音がして、ふたを開ける。
「あ、お前、ビールなんて」と言った後で、圭が未成年ではないことを思い出した。とっさに話を切り替えた。「用事があるんだろ。すませてから飲めよ」
「そうだった」圭はビール缶から手を放す。
それから、フォークを持つ。「話ながら食ってもいい?」こういう物言いは子どものようだ。
「どうぞ」
いただきまーす、と軽く言って、圭はハンバーグをフォークに刺し、口に入れた。
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