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第12話

さらに、圭が言った。 「今回の依頼主のNPO法人なんだけど、黙打会のライバル組織がバックにいるんじゃないのか」 「暴力団ってことか?」 圭はうなずく。「黙打会系のドラッグ販売所の証拠を押さえたいと一番思うのは、ライバル組織だろ。警察だったら、民間企業に調査を頼んだりしない」 「NPO法人だって同じだろ。他所の民間企業に頼むより、自分たちで調べればいいじゃないか」 「関係者が調べたってわかったら、黙打会と本格的な抗争になるじゃないか。民間企業に調べさせて、警察に告発させて、つぶす方がいいだろ」 そう言われると、その推定が当たっているような気もする。 NPO法人を確認しなければ。 今回、仕事を紹介してくれた佐久間を信用しないということではない。 長年会社に尽くしてくれた佐久間が誰とビジネスをするとしても、それは、理由があることだろう。 そう考えてはいるが、今回の仕事の依頼主が反社会的勢力の関係であれば事前に知っておきたい。 平然と圭が言う。「佐久間や間島には、俺がNPO法人の正体を気にしてるって言わないでくれよ。隼人も、この件は間島探偵事務所にお任せで、関知してないってふうでいてくれ。ドラッグの妙な利権争いには、巻き込まれたくないからな」 圭の落ち着いた口ぶりに、隼人は逆に心配になった。 「思ってたよりもっと危険な話なのか?お前、大丈夫なのか?」 「大丈夫かって、今更なんだよ。仕事だからな。受けたらちゃんとやるって言ってるだろ」 「だけど、俺の会社の依頼で、危険すぎることはしてほしくない。金は払うし」 「心配性だな。大丈夫、大丈夫。もっと危ない橋はいっぱい渡ってる」 「渡らなくていい。安全第一が、大内警備の社是だから」 圭は、肩をすくめた。返事らしい返事はされなかった。 彼が隼人のいうことを聞いたためしがないのだ。

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