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第14話

圭の書いた報告書は、間島探偵事務所から佐久間にわたり、数日後に隼人のところにきた。 「この件は、隼人坊ちゃんは気にしないでください。私が全て差配します。坊ちゃんは大内警備の仕事でお忙しいでしょう」と佐久間は言った。 隼人は、お願いしますと言って、圭に言われた通り興味があまりない顔をしておいた。 会社の仕事が忙しいのは本当だった。 それに、佐久間が気を使っていってくれていることは確かだ。 子どものころから親切だった佐久間が会社に悪影響を及ぼすようなことをするとは、やはり思えなかった。 だが、隼人は、会社の書類を探して、NPO法人との取引を調べた。 過去の不思議に思っていた入金元は必ずしも佐久間が言ったNPO法人ではなかった。他の団体のこともあれば、企業のこともある。 だが、よく調べるとたどりつく住所は同じだった。登記上の代表者の名前は違うが、兼任しているケースもある。 知れば知るほど、NPO法人も怪しい組織に思えてくる。 もし、圭の言う通り、NPO法人の金の出元が暴力団関係だとしたら、そこから金を受領している大内警備は、反社会的組織との取引がある会社になってしまう。 本業の警備業自体への影響は甚大だ。いや、それどころか、会社がつぶれてしまうかもしれない。 紹介してくれた佐久間自身、クライアントの真の正体を知らないのかもしれない。 あるいは、切れないしがらみがあるのかも。 若い頃は相当なワルで、社長に会わなかったら今頃塀の中です、と佐久間は隼人の父親に何度も感謝していた。 ワルだった時のつきあいの名残が、本人が意識しない形ででてきているのかもしれない。

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