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第26話

それは、入り口だった。圭の中へと誘い込む。 暴き立てれば、全部、自分のものにできそうだ。 「圭」隼人は名前を呼んだ。 「はやく」 ここにいるのが隼人だということが圭には、わかっていないのだろうか。 誰でもいいのだろう。だから誘っているのだ。 彼の熱を一緒に高める人間を欲しているだけなのだ。隼人は自分を説得した。 だから、今、何をしたって、自分の責任じゃない。不用意にクスリを飲み、誘ってくる圭が悪いのだ。 圭が、隼人のシャツをひっぱり、せかしてくる。 隼人は、圭の唇に、自分を重ねた。 「っん、」圭が喉の奥でうれしそうな音を漏らす。 舌で口を開けて、中をたどった。圭の舌に自分の舌をからめる。 圭の手が、わずかに持ち上がった。 急に意識が戻って、殴ってくるのかと思ったが、違った。細い腕が、隼人の背にまわってきたのだ。キスの角度が深くなる。 隼人は、圭を抱き上げた。それから、ドアを開け、部屋の奥へ連れて行った。 部屋の壁際にある狭いベッドに圭を横たわらせた。彼は、隼人にずっと触れていたがっている。 何度キスをしても、うっとりとした顔は変わらない。 下半身をこすりつけてきて、いやらしい動作で揺らしている。 そこは、すでに外からもわかるくらい固くなっている。前立てのボタンをはずしていくと、わざと荒い動作でスラックスを足から引き抜いた。そして、下着に手をやる。 圭は小さな声をあげ身体をねじった、抵抗は少ないが、刺激が強すぎたのだろう。 下着はすでにベッタリと濡れていた。 「あ」 下着が立ち上がる性器をかろうじて押さえつけている。色が変わるほどにじっとりと濡れていた。 隼人は下着に手をかけ、ずりおろした。圭の性器が跳ねて出てくる。赤くなった先の小さな口がピクピクと開け閉めを繰り返し、トプンと透明な液体が流れている。 「ああ」ため息のように圭はあえいだ。 その様子は視覚を刺激する。心臓が喉から出てくるくらいに、せりあがってくる。 いつも生意気な様子の圭が、抵抗もせず、こんな痴態をさらけ出すなんて。 シャツも、なにもかも、脱がしてしまおう。 上着をぬがせるとポケットから、ふわりと小さなビニールの袋が床に落ちた。 白やピンク色の錠剤が数粒入っている。塚田が乗っ取った店舗で取引されていたあのクスリだろうか。 何かの拍子に飲まされてしまったのか。 圭は、クスリで思うように動けないようだった。声をあげているが、無意識のものだ。 なめらかな陶器のような肌が、しなやかな肢体が、隼人の前に全て、さらされた。

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