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第27話

高校生のころ、何度か圭の裸をみた。 夏の日に熱気の屋外から帰って来たばかりで、シャワーを浴びる直前に衣類を脱いでいるだけだったのだろうが、暑い暑いと言いながら、服を脱ぎ散らかして裸で歩き回ることがあったのだ。 細い腰や背中から尻にかけての背骨の曲線。あの時の成長しきっていない身体を、隼人は正視することができなかった。 自分が、圭をどう思っているのかを、隼人は考えないようにしていた。 あってはならないことだから。 圭は、口では男とも女とも経験があると生意気を言っていたが、華奢な姿はまだ成長の途中だった。 「狭霧が売春してる」と同級生が耳打ちしてきたときに、花開く途中の白い蕾をむしり取られ踏みにじられたような気持になって、頭に血が上ってしまったこともある。 あの頃、彼を自分の欲望のままに抱くとなんてことは、想像するだけでも、してはならないことに思えた。 第一、圭は、隼人をそんな対象には見ていないのだと、言い聞かせて、自分の感情を押し込めたのだ。 今、大人の圭が、ベッドの上に細い四肢を投げ出している。成長したものの肌や形の美しさは変わっていない。 肌は薄く紅潮し、滑らかで均整の取れた身体が、熱を発して、誘うようにもじもじと動いている。中心は濡れたまま、立ち上がり、わずかな刺激に身体を震わせた。誘っているようにしか思えない。 じっと見ていたら、圭が手を伸ばしてきた。 「早く」 甘えた声。 手を引かれれる。 「舐めて」とねだってくる。 お前が、誘ってるんだ。 隼人は、彼の性器の先端に舌を伸ばした。ペロリと舐めると、声が上がり、身体がまた動く。 その声がもっと聞きたくなり、口に含んだ。先走りを舐めながら、棹に手をやった。 「ん」身体がはねた。刺激が強いのだろう。 もっと、感じさせたくなって、舌先で先端をつついた。 誘ってきたのに、圭は、いやだと首を横に振る。 「やだ、もっと、ゆっくり、」 聞かないふりをして、口をすぼめて出し入れし、刺激を与え続ける。圭手が、自分の頭に触れた。髪をつかまれるが、力が出ないのかすぐに手は放される。 苦悶に近い声をあげている。足が引き連れ、ピリピリと痙攣している。 「でちゃう」 わざと強く吸い上げると、足がガクガクと動き、細い声と共に、口の中ではじけた。 圭に聞こえるように音を立てて吸いつくし、飲み込んだ。青臭いはずなのに、やけに甘く思えた。頭どうかしてるな、俺。精液飲んで、うれしがってる。 いった後の性器を口の中でかわいがっていると、圭は、涙声で、何かを訴えてきている。ほとんど耳には届かなくなっている。 クスリの効果なのだろう、圭の身体は熱いままで、興奮は去っていない。吐精したあともすぐに緩く立ち上がってきた。 自分も熱い。ポタポタと額から汗がおちてくる。 ネクタイを緩めてとりさると、首のボタンをいくつかはずした。こめかみからあごに汗がつたっているのを、袖口でぐいっとぬぐった。

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