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第43話
圭からは、さらに、塚田の正体がつかめないという話を聞いた。
「南川に言わせると、こんなにわからないのも異常だそうだ。どんなに悪でも、急に大人の姿で出てくるはずはない。赤ん坊だった時、小学生だった時があるはずだ。なんの気配もないのは、変だって」
「NPO法人が塚田を探りたいのは、そのためなのか?」
「わからない。そうかもな。南川は、塚田、という人間は、実際には存在していなくて、誰かが何かの目的で作り出したのかもしれないって、言ってた」
そう聞くと、今回の依頼がますます危険なものに思えてくる。
「どっかの国のスパイとか?」
「可能性はゼロじゃない」と圭は真顔だ。
得体のしれない人間とそれを調べることを依頼してくる影の組織。
「なあ、手を引いた方がいいんじゃないか」と隼人は言った。「今でも、佐久間さんに言えば、断ることはできると思う」
その言葉に、圭は、目を丸くした。びっくりした顔をしている。
「何言ってるんだよ。この程度のことで、いちいち仕事断ってたら、探偵業で飯食えないよ。大丈夫だよ。あ、心配なら、隼人にはこうやって報告しないでおこうか?全部終わってから、佐久間から聞くことにする?」
「いや、それはいい」
本当に大丈夫なんだろうな、と念押ししたら、圭は、自信たっぷりにうなずいた。
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