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第45話
そんなことを考えていたら、圭が、ふいに手を伸ばしてきた。
一瞬ギクリとしたが、彼は、買ってきたスナック菓子を口に放り込んだだけだった。
圭が聞いてくる。「その英語使える知り合いって、どんな人?仕事何してんの?」
「今は、ヨガとヴィーガン料理を教えてる。生徒の自宅にでむいて教える仕事。英会話もやってると思う」
「へえ。友達のサラリーマンとかじゃないんだ」
「違うな。会社勤めしたことないんじゃないかな」
「隼人の元彼女?」
「男だよ。40代男性」
圭は笑い出した。
「ああ。確かに。ヨガ、料理とか言われたから。てっきり女の人かと思った。俺も結構先入観あるな。だけど、隼人の知り合いとは思えないタイプだ」
「どんなタイプが知り合いっぽいんだよ」
「サラリーマン、学校の先生、公務員」そう言いながら圭は冗談だよと笑っている。
ヨガとヴィーガン料理の先生も、隼人の友人って言われればぴったりだな。疚しいところなんかなくって、潔癖感がある感じ。実際はどうか知らないけど、と圭は言った。
その声を聞き、彼の楽し気な笑顔を見ながら、隼人は、ビールをあおった。
自分なんて疚しいところだらけだ。
例えば、今、お前を襲って、レイプしようなんて妄想にとらわれてる。
圭は隼人について、知らないことが多いのだ。
圭には見せなかった、見せたくなかった自分だ。
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