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第68話

翌日、隼人から退院したと連絡があった。すぐに会社に出勤するらしい。 社長が急に休んで、次の日、どうみても誰かに殴られた様子で出社したら、社員はびっくりどころじゃないだろうな、と圭は思った。 大変なことなのだろうが、どこかコミカルなシーンを想像して一人笑ってしまった。 隼人は社員にも誠実にまじめに接してるだろうから、心配はされるだろうけど、信用を無くしたりはしないだろうな、とも思った。 隼人は忙しいらしく、その後は連絡がない。 鶴見たちが暴力で破壊した倉庫は、五十井組がやってきて片付け、めぼしいものは全部持って引き上げたらしい。 鶴見に頼んで隼人の周辺や大内警備に、塚田や五十井組がこないか見てもらっている。鶴見は面倒くさいと言いながらも、そういうところは抜かりなくやってくれる。 今のところは影も形もないと連絡してきた。 南川は、塚田の行方を探っている。すぐには見つからないらしい。どこから来たのかわからない得体のしれない男は、行方もつかみにくい。 圭は今まで把握した情報を整理し、報告書を作りつつあった。塚田は逃げたが仕事はあくまでも塚田の犯罪の証拠をつかむことだ。 今まで把握した違法ドラッグの製造販売だけで、報告は十分なはずだ。

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