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第71話

佐久間は怒った表情を変えていない。 「報酬は支払う。NPO法人の指示通り、データは全部消去して、間島さんに報告しろ。それで、今回の件や、塚田のことは二度と追うんじゃない」と彼は宣告した。 急に間島が心配そうな口調で質問をしてきた。「塚田が、仕返しに来たら、どうするんですか?」 佐久間が答える。「塚田については、わたしも警戒しています。これ以上手出しはさせません」 「どうするつもりだよ?」と圭は聞いた。 佐久間は不敵に笑って見せる。 「俺には俺のやり方がある」 このおっさん、実は、ヤクザじゃないのか、と圭は思った。隼人が知らないだけで、裏社会とつながってそうな雰囲気だ。 「隼人は、今回のこと知ってるのか?終わったことも、あんたが、なんか知らないけど塚田のことに対応しようとしていること」 佐久間は、一瞬躊躇したが、うなずいた。知らないから躊躇したのか、圭に教えたくないからなのかはわからない 「とにかく、この件は終わりだ。わかったな」と佐久間は圭に告げた。 自宅に帰ると圭は南川に連絡をした。電話で状況を告げ、指示された通りデータを全て間島に送り、消去した。 データを送ったすぐ後にメールで請求書を間島に送ったら、すぐに支払い通知が来た。今までは支払いに何か月も待たされることもあったのに、今回の件を何が何でも幕引きしたいということなのだろう。 間島に入金のお礼の電話を皮肉交じりにしたら、むこうからは、「ご苦労だったね。また、お願いするから。今回のことは、あんまり気にしないようにしよう」と言われた。 それっきりだった。 数日たっても、隼人からは、相変わらずなんの連絡もなかった。 自分から連絡しようかとも思ったが、やめた。隼人から連絡をすべきだと、なぜか意固地になってしまったのだ。

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