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第87話

「なんでこの時に連絡してこなかった?塚田たちは、お前が、狭霧圭で、片倉様の息子だってことも知ってたんだぞ」と鶴見が続けている。 「五十井組の幹部は、片倉様とは事を構えないといっているからよかったようなものの、お前の背後に片倉様がいるなんて、ない話が本当のように言われたんじゃあ迷惑だ」 鶴見の抗議を聞き流し、写真を見て、この時、塚田たちに媚薬を飲まされたのだ、と圭は確信した。 塚田のところを見張っている時、何かの拍子に、塚田たちに捕まってしまったのか。 そして、媚薬を投与された。 塚田たちは圭に媚薬を飲ませ、痴態の写真でも撮るつもりだったのだろう。 だけど、媚薬は品質が安定していないし、おまけに遅効性だ。 自分は、隙を見て逃げたのだろう。 でも、塚田のところを逃れ、隼人のところにむかったのはなぜだろう。 塚田の倉庫で知りえた情報を伝えるためだったか。 途中で媚薬の効果がでて、それでも、自分は隼人の家に行ったのか。 どうして、彼のところになんか行ったのだ。 下手をうったのは塚田に捕まったことでも、媚薬を飲まされたことでもない。 隼人のところに行ってしまったことだ。 この時の自分に問いただしたくなる。

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