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第2話
◆◆◆
葉月に連れて来られたのは図書室。
「なんで図書室」
「先生に言われたったいね、流星に勉強教えて欲しかって……流星、苦手科目から逃げる癖あるから」
葉月は流星の前に流星が苦手な化学と数学の関連な本を大量に置く。
「げっ」
流星は後ずさりして逃げようとするが葉月がそれを許してくれるはずもなく椅子に座らされた。
「テストあるやろ?赤点取ると流星の好きな山笠でれんけど?よかと?」
葉月は腕を組んで流星を迫力で押さえる。
「は?山笠?なんで?」
「赤点は補習あるし、学校も休ませてくれんって先生が」
「はあ?なんそれ!」
葉月の衝撃な言葉に声が大きくなり声が大きいと注意された。
「流星、分かってると?来年受験ばい?あと数ヶ月しかないと!大学受けるとやろ?今のままじゃ危ないとけど?」
葉月は迫力のまま脅してくる。
「先生になるとやろ?修さんみたいな」
修の名前を出されて流星は言い返す事もせず、座り直した。そして、しゅんと元気がなくなる。
流星を言う事きかせる為に出した名前だけれど、こんなにしょんぼりされると葉月も心傷む。
「ごめん、名前出して……でも、マジで流星危ないんやから」
「うん」
修は流星が大好きな大叔父。祖父の弟で数年前に亡くなった。
山笠が好きで流星の山笠好きは修の影響だった。流星が幼い頃から亡くなるまで山笠に一緒に出ていたのだ。
修は元教師で流星もそうなりたいと思っている。
「僕が分からないとこ教えるから」
葉月に言われ、仕方なく図書室で勉強をした。
葉月は成績優秀で学年トップ。
流星は苦手科目以外は大丈夫なのだが、どうしても苦手科目は避けたがっていた。
◆◆◆
帰り道、「十五夜寄ってよか?」と流星は商店街を指さす。
十五夜とは商店街の中にある人気のパン屋で修と幼い頃から通ったパン屋。修がここのパンが大好きだったのだ。
「仏壇に供えると?」
葉月に言われて流星は頷く。
もう直ぐ修の命日か近付いていたからだった。
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