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第5話
「俺達の子を助けてくれ悠陽。」
桜夜は眠ったままの悠陽の傍に座り手を握りながら祈る様に呟いた。
あの事件の日に桜夜を迎えに来た運転手が桜夜達が居ないからと直ぐに執事に連絡を取り携帯の位置情報から桜夜の居場所を探し出た。
悠陽は助けが駆けつけた時、意識朦朧としながら挿れられるのを拒んで殴る蹴るの暴行を受けている最中だった。
その時桜夜は気を失いうつ伏せに倒れていた。
2人は助け出され桜夜は軽傷だったが悠陽は治験薬を飲まされ暴行を受けていた為に危ない状態でだった。
桜夜は病院に運ばれてから直ぐに目を覚まし悠陽の元へ行くと包帯を巻かれてベッドに寝かされている悠陽を見てその場で膝から崩れ落ちた。
ーすまない悠陽。俺を許してくれ・・・悠陽。ー
桜夜はゆっくりと立ち上がり悠陽の元へ行くと手を握りしめて声を殺し泣いた。
医師は懸命に悠陽の治療をしているとある検査で悠陽が向日葵を宿している事が分かったのだ。
周りは悠陽のお腹に宿る新しい命を始末しようとしたが桜夜はそれを受け入れなかった。
悠陽の身体に負担が掛かると医師に言われ桜夜も分かっていたが愛おしい人との新しい命を失う事が怖かったのだ。
ー 今度こそ守るから悠陽。そう誓ったのにすまない悠陽。 ー
「桜夜様!向日葵坊ちゃんが目を覚まされました。」
「本当か?」
「桜夜様を探しておいでです。」
「すぐに行く!」
桜夜は握りしめていた悠陽の手を離すと病室を出て足早に向日葵の元へと急いだ。
ー向日葵、良かった。本当に良かった。ー
心の中で桜夜は何度も呟いていた。
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